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2019年09月02日21:01

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ヴィーナス&女神ツアー55 縄文人のパンと耳飾り

井戸尻考古館には縄文人の作ったパンと餅が展示されていた。
初めて見るものだ。
炭化してしまっているが、曽利5号址から出土したパンは
楕円形の原型が止まっているものと、
複数の欠けらになったものが展示されており、
欠けらを見ると、内部まで炭化していた(写真左)。
一方、同じく曽利から出土した餅は石膏で着色製作した
地面に埋まっている状況を再現させて、展示されていたが、
欠けらになっている部分を見ると、やはり内部まで炭化していた。
(写真中)
パンと餅の違いは食材の麦と米の違いなのだろうが、
パンの方は表面がセピア色掛かっていた。
両方とも炭化しているのは古くなったからではなく、
火災などで炭化したことで、保存されたものだという。
他に、唐渡宮遺跡出土の多数のムギの実、
机原遺跡出土の多数のカリントウ状の炭化物、
藤内遺跡出土の多数の搗栗(かちぐり)の果実が出土している。

展示されたものの中に
沖縄本島産のイモガイ(学名=アンボンクロザメ:写真右)が1コ
展示してあったが、案内書が無かったので意味不明だった。
交易で縄文期に当地にやって来たものだろうか。
〈※(写真右)は出土したものではなく、現代のイモガイ〉

もう一つ、興味深いオブジェが展示されていた。
オギハラ遺跡から出土した縄文時代後期の
「T字形土製品」と名付けられた手の平に乗る大きさのオブジェだ。

フォト

イメージとしてはコンビーフの缶詰に付属している
プルトップ オープナーなのだが、
https://ja.wikipedia.org/wiki/コンビーフ#/media/ファイル:Corned-beef-1.jpg

T字形の横棒に当たる部分に楕円形の枠が取ってあり、その中に
渦巻き模様が凹刻され、塗布された朱が残っていることから、
祭祀に関係したツールだと思われるが、使途は不明のようだ。

土製品としては、他に、
井戸尻遺跡群の終幕期の遺跡とみられる大花遺跡から出土した
多くの土製耳飾が展示されていた。

フォト

大花遺跡に関して
『井戸尻 第9集』(P83)の「大花遺跡」の項にはこうある。

「大規模な配石遺構や石棺墓こそ確認されていないものの、たくさんの耳飾りを出土する遺跡として知られている。〜中略〜中期の井戸尻遺跡群の中にあって、その末裔たちが集まって形成した集落だと思われる。」

縄文期の多くの耳飾りは鼓の長い辺を押しつぶした形態をしており、
鼓の紐が掛かっている側面に当たる部分の窪みを
ケニアのマサイ族のように耳朶に穴を開け、
肉を伸ばした大きな穴にはめ込むようになっており、
耳飾りの大きなものは直径が6cmくらいあるから、
この耳飾りをすると、
耳朶は耳飾りの重さでかなり垂れていたと推測できる。
耳飾りに刻まれた文はみづちのような生物、蛙の後脚を抽象化したもの、
蛇など、多彩な装飾がなされており、中には朱で染めたものも見られる。
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