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2015年05月15日18:04

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送られてきたCDを聴いて

 日が暮れたら松家仁之の『火山のふもとで』を読み始めたいので、今の時点で日記を書いておこう。
 図書館から帰ったらサッカーライターからCDが届いていた。
 彼も関わっているミニコミ誌「レポ」の寄稿者14人が、それぞれ思い入れのある「青春時代の一曲」を選んで収録した洋楽オムニバスアルバムだった。http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AC%E3%83%9DCD-%E3%82%AA%E3%83%A0%E3%83%8B%E3%83%90%E3%82%B9/dp/B00RU0UDZ0/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1431678219&sr=1-1&keywords=%E3%83%AC%E3%83%9DCD

1. ザッツ・ザ・ウェイ 
2. 名前のない馬
3. アメリカン・バンド
4. ロンリー・ボーイ
5. アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド
6. ゴールデン・ブラウン
7. ルート66 (MONO)
8. 素直になれなくて
9. 愛のコリーダ
10. ジェシーズ・ガール
11. ロスト・イン・ユア・アイズ
12. ネバーエンディング・ストーリーのテーマ
13. ホールド・ミー・ナウ
14. ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン

 ライナーノーツが部厚い、44ページもある。14人がそれぞれ選択した曲について、きわめて極私的なエッセイを綴っている。
 海江田が選んだのはザ・ストランブラーズというバンドの「6.ゴールデン・ブラウン」という曲だ。
 百聞は一見にしかず、と書くと、意味が逆になってしまうが、すぐに聴いてみる気になった。というのも、ライナーノーツを読み始めたら、ライター集団だから当たり前の話だが、そこらの本よりも遙かに面白くて読み応えがあったから。
 どうせなら、一曲聴く間にその曲にまつわるエッセイをひとつ読んで、曲を聴き終えるというスタイルにしよう。
 5月の晴れた午後、こんなふうに無為な時間を過ごしてみる。窓を閉めて音量を大きくし、手許には豆を丁寧に挽いて淹れたコーヒーと、頂き物の上等なクッキーを用意した。
「青春時代のこの1曲」というテーマがいいのか、ライターたちが揃って力量があるからか、編者・北尾トロの企画力と編集力が優れているせいか、3人目4人目とエッセイを読んで行っても瑕疵が見えないのだ。厳しい目で読みがちな私にあって、こんなことは珍しい。
 1曲目の「ザッツ・ザ・ウェイ」をチョイスしたのはルポライターの本橋信宏だが、彼が大学に入学した1975年はディスコ全盛期だった。新宿の「ビバ館」「ギリシャ館」といったディスコに通い始めた本橋は、自意識過剰でチークタイムに次々と女の子をナンパする男たちを横目に、いつも一人、バイキング形式の冷えたスパゲッティや脂ぎったフライドポテトを皿に盛っては独り胃に収めるだけだった。そんな思い出を淡々と書いているだけなのだが、ゲロ臭が漂うトイレだとか、友人から「なんだよー、まだいるのか?」と掛けられた声だとか、情景描写が巧いのだ。
 海江田のエッセイもよかった。高3でパンクロックに出会って傾倒する。革パンなどのパンクファッション・アイテムを買う金もなく、ジーンズを裂きまくって安全ピンで留め、一本のジーンズに何十本もの安全ピンをぶら下げるようになった。「だいたいにおいて僕はエスカレートしがちで、ほどよい塩梅を見失う欠点があった」と書いている。笑えた。それは今も同じで、ほどよい塩梅が根本的にわかってなくて、1万円の原稿料で取材費を1万2千円使ってしまうようなライターだ。
 全員のエッセイについて所感を残したいくらい、いい内容だったし、曲も飽きなかった。好きなアイテムを語る、というのは、聞いていて(読んでいて)楽しい気持ちになるものだ。
 CDを聴き終わってすぐにはがきを取り出し、感想を兼ねた礼状をささっと書いた。ラズリの散歩を兼ねて郵便局へ投函しに行く。すがすがしい気分はまだ続いていた。
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