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2011年06月09日21:22

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『日本縦断アイヌ語地名散歩』

 体調、相変わらず悪く朝8時、這うように起き出した。
 朝食後、ベッドの木枠にもたれて『日本縦断アイヌ語地名散歩』(図書館本)を読んでいたら、少しずつ気持ちが晴れてきた。これはアイヌ語特有の地名が自然や地形を直截法でつけられているという自然崇拝の健全性で元気づけられたのではなく、解熱剤が有効作用したからだろう。
 本書によると、三内丸山遺跡(青森)の三内はあとづけの当て字で、1822年に完成した『菅江真澄遊覧記』には寒苗(さむない)と記されていたが、これも当て字。そもそもはアイヌ語でサン・ナイ=前に開けた・沢、という地名だった。この一帯は青森湾に向かって急に落ち込んだ沢だったことが発掘調査でも確認されている。北海道の地名によくある「〜内」「〜別」のナイというのは川か沢のことらしく、稚内はワクカ・ナイ=飲み水の・川、幌別はアイヌ語ではポロベツ=大きな川。こうしたアイヌ語が基になっている地名は北海道のみならず東北、そして本土全体に多くみられると著者の大友幸男は分析している。
 この本はアイヌ語入門の色合いが濃く、巻末にはアイヌ語索引もある。
 うちは標高100メートル弱の山の中腹のちょっと平地なところにあるので、さしずめアイヌ語で言ったらエプイ・ワ(小山の・ふち)という地名がふさわしいのかもしれない。ちなみに、その昔は八雲町で今は大町1丁目という日本文化のぶの字もないような統一地名だ。明治期以来、誰よりも日本文化が好きな政治行政なのに、日本中の地名という地名を消して大雑把な町名を適当に割り振っていくというのが文化的なのだろうか。私のような日本嫌いの反保守派のほうが、日本文化に大して圧倒的にセンシティブ、というのが皮肉と言えば皮肉だ。
 昨年10月に阿寒湖へ行って以降、毎月1冊2冊とアイヌ関連の本を図書館から借りて読み続けていたら、彼らのアニミズム文化は日本の伝統文化がこの2000年で徐々に失っていった欠落を埋める大切な何かである、と確信した。逆説的に言うと、現代日本というジグソーパズルの一片をアイヌの自然崇拝ジグソー一片と交換したら、日本はこの先、立ち直れる。
 そんなことを思っていたら、正午を過ぎ、ラジオ英会話の時間になった。
 予習をしていたら、litterという知らない単語が出て来たので、辞書をひいた。
 散らかった動物のねぐら、という意味らしい。そして動詞になると、散らかす、汚すの意。
 英語の専門家ではないが、英語というのも日本語同様、自然に対する畏怖感が乏しく、動物のねぐら→散らかっている→汚いというような、自然を一段も二段も低く見ているようなところがある。
 しかしネイティブアメリカンやイヌイットの言語感覚は、自然を讚える言葉に満ち溢れている(ように私は思う)。
 自然をいかに壊して収奪していくかが、この2000年の有史だとしたら、2001年以降は自然といかに調和していくかが問われているのではないか、と思う。
 ややしつこいけど……、原発や日本史や伝統文化で愚鈍のように賞賛を唱える保守系より私の方が本当の愛国主義者だと思う。
 ああ、当初何をテーマに書き始めたのか、話が脱線ばっかりするものだから、だんだんと忘れてきた。
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