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2009年06月22日20:05

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渡辺あやの俳句

昨日の記事の末尾でふれた渡辺あやの俳句、一句だけではあんまりなのでもう少し紹介したい。

胸ぬちにうた醸しゐる冬日かな

寒月や詩の凝集といふ課題

冠雪の富士あり思惟は透明に

母の背の温くさ梟の怖さかな

何すなく逢うて別れぬ花の宵

名を知らで愛でゐし花ぞ花みづき

まざまざと海堡の崩えや秋の風

水引草つゞれの帯に織らまほし

月に待す浜の芥も何もかも

風花と書きはかなさと読むべきか

冬深し解いてはたゝむ胸の襞

糾すべき一事暖炉のもえゐたり

臘八や暁暗に継ぐ生命の炎

枯野路の果の果なる母郷かな

山眠るやブッセの詩をふところに

(渡辺あや『水引草』より)
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