森剛志『消費税の正体』(光文社新書)を読みました。
著者は、甲南大学経済学部教授です。ご専門は経済格差、所得分配だそうです。
本書の冒頭で、日本経済の弱点を4点上げています。第1に、人口動態、すなわち人口減少と高齢化です。第2に、国民の諦めのマインドです。第3に、エネルギーと食料の外部依存度の高さと、第4に、地政学的なリスクを上げています。
本書の基本的な視点は、インフレの時代となって、エネルギーや食料価格が上昇する中で、消費税の減税が景気を刺激し国民生活を守る重要な経済政策アジェンダである、というものです。はい。私も完全に同意しています。
また、本書では、タイトル通り、消費税の正体は、その昔のGATTに抵触しない輸出補助金であると、ハッキリ正しく指摘しています。ですから、本書の後のパートでも指摘しているように、現在、臨時国会で議論している食料品の消費税率だけを引き下げるのは、食品会社への補助金にほかなりません。はい、それも正しいのですが、ただ、消費者のサイドからして食料品への消費税率を引き下げるのは、それ相応の食料品価格に引下げが伴えば、決して悪い話ではありません。
加えて、本書の底流にある公共経済学の考えは「税は財源ではない」ということのようです。私も基本的に賛成であり、というか、財政の税やほかの歳入と歳出はそれぞれ別に独立して政策手段として活用すべき、と考えています。
本書ではほかに、私なんかの目からすれば、いうまでもなく当然のことながら、消費税は社会保障の財源ではないと的確に指摘しています。消費税は社会保障ではなく、むしろ、話の流れからすれば、法人税減税の財源と考えるべきです。アチコチで見かけるものながら、法人税減税と消費税率の引上げが強くリンクしているグラフが本書でもp.61の図2-1に示されています。私は個人的に社会保障の年金と消費税率をプロットしてみたことがあるのですが、何の関係もないことが確かめられます。
加えて、本書ではグローバリズムからそろそろ脱グローバリズムに舵を切るべきとの議論がなされています。私は基本的にこれも賛成なのですが、具体的な政策手段がどこまで利用可能かは疑問と考えています。トランプ的な関税率引上げは政策として適切とは考えられません。
最後に、本書では、第5章で、極めて詳細かつ具体的に消費税を廃止するプランが示されています。国家公務員として60歳の定年まで官庁にお勤めした私が知る限り、有能な財務官僚ばかりですから、選挙でこのような方向性が示されれば、ものの数週間で実際の法案や制度に落とし込めるのではないか、という気がしています。
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