飯田一史『「若者の読解力低下」というウソ』(集英社インターナショナル新書)を読みました。
著者は、出版ジャーナリスト・ライターだそうです。私は、同じ著者の『「若者の読書離れ」というウソ』(平凡社新書)や『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』(平凡社新書)を読んだ記憶があります。
基本的には、本書の主張は真っ当なものであり、本書の指摘もキチンと根拠を持って、正しいソースから正しい結論が導かれていると私は考えています。加えて、私自身は日々大学生を相手にしていることから、実感としても正しいといえます。もちろん、私が相手にしている大学生諸君は、高校と違って進学率は50%を少し超えたくらいで、それなりに読書や読解力に優位なものを持っている可能性が高いとは思いますが、そういった事情を考え合わせても、本書の主張は的を射ていると受け止めてます。
本書では、2000年代に入ってからのいわゆるPISAショックから説き起こし、その前の1990年代のゆとり教育が槍玉に挙げられて、読解力をはじめとする学力が低下した、という世間一般の理解が広まった背景を指摘しています。特に、政権批判もままならないメディアが、日本で学力が低下した際には大きく取り上げる一方で、国際的に学力が高いとニュースにならない点を批判しています。
ただ、本書でも書きにくかったことと考えますが、高齢化した今の日本では若者を見下したり、バッシングしたり、は一定の需要あるのではないか、と私なんかはひねくれた考えを持っています。特にその傾向が鮮明に現れたのは2004年のイラク人質事件です。日本国内で「自己責任論」に基づく激しいバッシングが生じました。2015年のシリアにおけるIS人質事件でも同様の批判がありました。
若者の学力が低下したとか、読解力が低い、とかいったトピックに高齢者をはじめとする年配層からの一定の需要を感じている可能性があります。私自身も70歳に近づいて、人に自慢話をするのを高齢者の楽しみだと感じ始めていたりしますが、高齢者需要をつかむために、悲しいことに、そういった論調が幅を利かせている可能性は否定できません。
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