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2026年10月23日07:39

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田中弥生『税金はどこへ行くのか』(講談社現代新書)を読みました

田中弥生『税金はどこへ行くのか』(講談社現代新書)を読みました。
著者は、現職はいろいろとあるんでしょうが、本書との関係で重要なのは、2019年から会計検査院検査官を務め、2024年から2025年3月まで会計検査院長を経験しています。
したがって、というか、何というか、それなりの年齢に達していますので、冒頭章はご自身のキャリアの自慢話から始まります。焦点はドラッカーとの関係かと思います。第2章で会計検査院について概説し、第3章と第4章が本書のタイトルに答えるものとなっています。
コロナ期に会計検査院にお勤めでしたので、第3章でコロナ期のアベノマスクと特別定額(特定)と持続化をはじめとする給付金、第4章でコロナに必ずしも限定されない範囲で、ガソリン補助金や電気・ガス補助金をはじめとする補助金、繰越しの多い補正予算、賃上げ税制を取り上げています。第5章と第6章もやや自慢話であり、会計検査院の活動や今後の方向を論じています。
いうまでもありませんが、会計検査院の活動をプレーアップしていますので、特に、第5章の補助金や税制などは、財政のムダの観点から、批判的なトーンに終止しています。ただ、余りにも役所的な内容で、図表が豊富に収録されているにしては、決して判りやすい内容ではありません。会計検査院にお勤めの際の資料、あるいは、現役の職員などから提供を受けた資料を元に本書をお書きになっていることと私は想像していますが、ご本人の頭の中では十分に理解が進んでいるよう見える一方で、読者にうまく伝わっているかどうかについては疑問を感じざるを得ません。
まだ、第2章まではいいのですが、特に、本書の中核となる第3章と第4章については、地の文も図表も一般読者向けにこなれているとはいい難い気がします。ですので、じっくりと読みこなそうとする分にはいいのですが、伝えようとして取り上げている中身がとてもいいだけに、その点は残念です。会計検査院の視点からすれば、財政のムダを指摘することが組織の使命ですので、財政が効果を上げている部分は省略してある点も、判りにくさにつながっているのかもしれません。
したがって、財政のムダの指摘ばかりが残りますから、下手に使われると、緊縮財政を志向することになりかねない点が懸念されます。例えば、「週刊エコノミスト」誌の書評「日本の財政の正当性を問う 元院長による会計検査院入門」では、もともとが緊縮財政を志向する評者が「本書は、無駄遣いや過剰な繰り越しをなくせるかを現政権に問うている。」で書評を締めくくっています。

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