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2026年10月19日07:46

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アルヴィンド・ナラヤナン & サヤシュ・カプール『AI過大評価社会』(草思社)を読みました

アルヴィンド・ナラヤナン & サヤシュ・カプール『AI過大評価社会』(草思社)を読みました。
著者は、米国の名門アイビーリーグ校のひとつであるプリンストン大学教授・情報技術政策センター(CITP)所長とそのCITPの博士課程大学院生です。
本書の英語の原題は AI Snake Oil であり、2024年の出版です。タイトルの Snake Oil は本文中にもしばしば「蛇油」として登場します。日本式にいえばガマの油に相当するような万能薬、何にでも効く的なインチキ薬であり、1906年に米国食品医薬品局(FDA)ができるまで米国ではこういったものが出回っていた、と本書でも指摘しています。
要するに、人工知能=AIをインチキ薬の蛇油になぞらえようとしているわけです。そのため、というか、何というか、本書の冒頭第1章の概観の後の第2章と第3章では、AIが予測にはまったく役立たないことを力説しています。私は専門外ながら、特に、2020年の新型コロナ(COVID-19)の感染拡大に関する予測についてはまったくダメだった、という事実は知っています。
コロナだけでなく、再犯リスクを予測するAIや、医療系の予測系AIなどで、実際には6割程度の正確さ、すなわち、コイントスの50%より少しマシな程度の予測しか出来なかったと解説しています。ただし、第4章以降ではAIの開発史を振り返り、AIに関する現状の性能を明らかにしつつ、どうして、多くに人がAIに対する「万能感」のようなものを抱くのか、について考察を進めています。そのあたりは、本書の中核をなす部分でもあり、読んでみてのお楽しみです。
基本的には、私は認知バイアスなのだろうと受け止めています。AIなんぞが人口に膾炙するず〜っと前、私はエコノミストですので、計量経済モデルをコンピュータでシミュレーションして短期経済の予測を出すお仕事をしていた経験があります。大雑把にバブル経済末期の1980年代も末のころです。
当時の経済企画庁の同僚には立派なエコノミストがそろっていたのですが、30歳になったかならないかの係長クラスの私の作業から得られたモデルによる経済予測ながら、それなりの信頼感が寄せられていました。「アイツがやっているんだから、いい加減な予測だろう」と考える人も少なからずいましたが、それなりの信頼感があったと私は受け止めていました。
経済予測なんて、モデルでシミュレーションしようと、AIを活用しようと、今までそれほど精度高い結果を得られたことはありません。ですので、AIについても私は眉に唾つけて接しています。AIも計量経済モデルも、決して神のご託宣ではありません。

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