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2026年10月11日07:45

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楊双子『四維街一号に暮らす五人』(中央公論新社)を読みました

楊双子『四維街一号に暮らす五人』(中央公論新社)を読みました。
著者は、台湾の作家であり、本書の前に日本で出版された『台湾漫遊鉄道のふたり』が話題となっていると思います。私は未読ながら、できれば読んでみたいと考えています。本書の中国語の原題は『四維街一号』であり、2023年の出版です。
タイトル通りに、台中市の中心街、文教地区近くにひっそりと残るシェアハウス四維街一号に暮らす5人の女性の小説です。訳者のあとがきによれば、「百合小説」だということですが、初老に差しかかった男性の私にも楽しい読書でした。
著者や訳者のあとがきによれば、タイトルは実在の建物、1938年に建てられた「四維街日式招待所」だそうで、もう少し住所を書き加えると、台中市西区四維街一号となるそうです。「四維街」は通りの名であり、「一号」が番地、ということになります。よく知られたように、日本語の「市」に当たる中国語は「城」です。
この小説では、全5章でシェアハウスに住む5人の女性が取り上げられていて、その住人の1年の物語となっています。大家さんのほか4人はすべて大学院生です。1階には郭知衣と廬小鳳の2人が、また、2階には徐家樺と蕭乃云、それに、大家の安修儀の3人が、それぞれ暮らしています。
章別に取り上げられているのは、第1章が蕭乃云であり、大学院修士課程に入ったばかりで、人見知りして恥ずかしがりやですので、ほかの入居者などとのお付き合いはそう得意ではありません。第2章は徐家樺であり、小説では家家と呼ばれています。同じく大学院修士課程1年生で、苦学生ながら大柄な陽キャです。第3章は廬小鳳で、大学院修士課程2年生、人柄も気遣いもよくできる良家のお嬢様です。
第4章の郭知衣も、大学院修士課程2年生、男言葉で会話し、仙女のように浮世離れし、BL作家として連載を持っていたりもします。最終章は大家さんの安修儀、将軍を輩出した家柄ですのでお金持ちなんだろうと想像できます。一時は台湾政情を危惧して米国ロサンゼルスに留学して大学院博士課程まで進んだ30代女性ですが、叔母の死により四維街一号のシェアハウスを相続し、博士号取得を中断して帰台しています。
大家の安修儀をのぞく4人の大学院生は台中から見て東西南北の四方の出身者であり、中には、台湾最大のエスニックグループである 閬南人や客家人もいます。
ストーリーとしては、この5人の居住人が織りなす1年間の生活について、話題となっている『台湾漫遊鉄道のふたり』と同じように、食事、というか、台中のローカルフードと併せて展開しています。実在のレシピ本らしいのですが、『臺灣料理之栞』という1912年発行の日本語の本も含めて、四季折々のお料理やスイーツを作ったり、買ってきたり、みんなで楽しんでいます。本書の読ませどころですし、私がまったく不調法な部分ですので、このあたりは読んでみてのお楽しみです。

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