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2026年10月08日07:23

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葉室麟『草雲雀』と『柚子の花咲く』(文春文庫)を読みました

葉室麟『草雲雀』と『柚子の花咲く』(文春文庫)を読みました。
著者は、私の大好きな時代小説作家の1人であり、2017年に亡くなっています。
今回読んだ両方とも、別の出版社からすでに単行本と文庫になっていたのですが、最近になって文春文庫から2次文庫として出版されています。
時代はいずれも江戸期であり、地方の決して大きくはない藩を舞台にしています。『草雲雀』では、媛野藩栗屋家の三男として生まれた栗屋清吾は、地味で控えめな性格で、家を継ぐ嫡男ではなく、いわゆる部屋住みの身です。ただ、剣の腕はめっぽう強く、道場では秘太刀「磯之波」を伝授されています。本来であれば、入り婿する先を見つけるのが当時の習慣ですが、女中のみつを妻としたために婿入りも出来ません。みつとの結婚も家長の長男には認められておらず、子を成すことも許されません。
そんな時、道場仲間の山倉伊八郎から自分の用心棒になるよう頼まれます。というのは、山倉伊八郎の実父は実は元家老の国東武左衛門であることが判明し、その元家老の実父の後を継いで藩の筆頭家老を目指すため、栗屋清吾の剣が必要だということです。「子どもを持ちたい」というみつの願いに応えるためにその申し出を引き受けたものの、山倉伊八郎改め国東伊八郎の家老就任を阻もうとする敵からの刺客が次々と襲いかかります。
『柚子の花咲く』では、鵜の島藩領内で牢人の遺骸が発見されます。その殺された牢人は、武士、町人、農民がいっしょに勉学に励む郷学である青葉堂村塾、これは鵜の島藩の隣藩である日坂藩にある村塾の教授である梶与五郎でした。梶与五郎は貧しい子どもに自分の弁当を与えて、いつも自分はお腹を空かしているような情の厚く、武士や農民の子どもたちから慕われる教師でした。
しかし、無惨な遺体で発見された後、妻敵討ちだったとか、賭場への出入りとか、梶与五郎にまつわる悪い噂がささやかれるようになり、汚名を着せられてしまいます。そして、かつて梶与五郎の教え子であった日坂藩の郡方を務める筒井恭平と勘定方の穴見孫六が梶与五郎の汚名をそそぐべく調査を始めます。
どちらの作品も、葉室作品らしく、決して高位高官として後世に名を残したわけではないものの、市井でまじめに精一杯生きようとしている不器用な一般人にスポットを当てて、その生き様を大いに称揚する時代小説です。私の好きな作家による好きなタイプの時代小説であり、大いにオススメです。

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