E.A.ポオ & W.アーヴィングほか『古典アメリカ幽霊譚傑作集』(創元推理文庫)を読みました。
タイトル通り、大雑把に英国のビクトリア期に当たる1830年代から1905年の米国幽霊怪談のアンソロジーです。出版社からすでに、『英国クリスマス幽霊譚傑作集』、『ロンドン幽霊譚傑作集』、『英国幽霊屋敷譚傑作集』が出版されており、そのシリーズに入る短編集であり、13の短編幽霊譚を収録しています。収録は編年体であり、1835年作品から1905年作品まで、出版の古い順に並べてあります。
作者とタイトルは収録順に、ナサニエル・ホーソーン「灰色の戦士」、ワシントン・アーヴィング「首吊り島からの客」、エドガー・アラン・ポオ「悪魔に首を賭けるな」、ローズ・テリー・クック「訪れ」、ジェーン・グッドウィン・オースティン「無人の小屋 - ある幽霊譚」、ジョン・ウィリアム・デ・フォレスト「太鼓叩きの幽霊」、クララ・レクラーク「水車小屋の幽霊 - テキサスの逸話」、サラ・オーン・ジューエット「灰色の男」、ヘンリー・ヴァン・ダイク「白い染み - ある絵の話」、ヘゼカイア・バターワース「ロムニー沼地の古屋敷」、フランク R. ストックトン「老アップルジョイの幽霊」、マリー・ヴァン・ヴォースト「吹雪の道」、エリザベス・ガーヴァー・ジョーダン「カスバート尼僧の試練」となります。
ポオやアーヴィングといった著名な作者の作品も含まれています。ゴシックスリラーな怪奇と幻想、さらに、狂気の中に理性の輝きを見せる作品が収録されている印象です。巻末の編者あとがきにあるように、この時期は米国の現在に至る国家としての形が、アラスカとかハワイを別にして、おおむね形成された期間であり、同時に、1770年代の独立戦争もまだ記憶に残る中、1846年から48年にはメキシコとの米墨戦争、1961年から65年はいわずと知れた南北戦争、1898年のスペインとの米西戦争など、戦争に明け暮れていた時期であり、戦死した兵士の幽霊譚も本書にはいくつか収録されています。
私が従来から知っていたのはストックトン「老アップルジョイの幽霊」だけなのですが、これはクリスマスの時期の陽気な幽霊の物語です。アップルジョイ家の初代当主の幽霊が、その孫である現在の当主の姪のところに現れて、クリスマスに姪の恋人のトムを招くようにいいます。米国でクリスマスの時期の幽霊話しとして広く語り継がれていると私は聞き及んでいます。
別に、米国らしく降霊術が登場する短編もあります。
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