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2026年09月23日08:15

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生島和樹『転売ヤーの会計学』(光文社新書)を読みました

生島和樹『転売ヤーの会計学』(光文社新書)を読みました。
著者は、福島大学経済経営学類准教授であり、ご専門は会計学、特に、財務会計だそうです。
私は会計学は専門外ながら、本書で取り上げているような転売ヤーについては、会計学ではなく経済学の視点から、それなりに考えを持っています。
まず、本書では、会計学の視点から正規、というか、合法的かつ効率性を増す形での流通と非合法な転売ヤーを区別しています。しかし、経済学の視点からは、はなはだ申し上げにくいものの、合法性はそれほど問題となりません。もちろん、まったく無視されるわけではありません。例えば、駐車料金に対してレッカー移動がないとした場合の駐車違反反則金を比較して、後者の方が安ければ堂々と駐車違反を考慮に入れたりもします。
他方で、経済学の見方では、本書ではほとんど登場しない競争的市場の方が重視されると私は考えています。ただ、経済学の専門知識に基づく「競争的」という言葉は、一般的な「競争」とは少し異なります。勝ち負けでの競争ではなく、同種の市場参加者がいっぱいいる、という意味です。
本書では、ガンプラやポケモンカード(ポケカ)を主として例示して議論を進めていますが、他方で本書でも言及している「興行」のチケットもあります。コンサートとか、スタジアムでのスポーツ観戦とかです。
一般に、転売ヤーが利益を上げるのは、小売価格よりも高い価格で買ってもいいと考える消費者が一定数いる場合です。この場合は、小売価格が需要曲線と供給曲線の交点で決まる経済学的な均衡価格になっておらず、供給者の方でコストに粗利分をマークアップさせて、ある意味で、ずさんな価格付けを行っていることから転売ヤーがつけ込む隙が生じます。であれば、供給者がきちんとしたマーケティングを行って価格を変更すればいいわけです。供給量=需要量が減少して転売ヤーに回らないことになり、それを補う形で価格が上昇して、付加価値総額も大きくなります。
そうでなく、興行のように供給曲線が垂直である場合は、市場が競争的ではない、と表現します。競争的市場と比較して、価格が上がっても供給は増えません。価格を引き上げて転売ヤーに対応する方法と、価格は変えずに強力な転売規制で対応する方法があります。おそらく、転売ヤーの収益は統計的に捕捉されないでしょうから、付加価値総額は変化しないように思います。興行だけではなく、短期的には保育園の定員も価格による弾力性がゼロですから、同じことになります。
ただ、本書では、転売ヤーに利益が出るかどうかについて、とても興味深い結論を会計学の観点から導いています。本書の結論ですのでレビューで明らかにするわけにもいかず、読んでいただくしかないのですが、著者の学識と見識の高さが示されていると私は受け止めました。

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