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2026年09月09日08:30

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東野圭吾『永遠の記憶』(文藝春秋)

東野圭吾『永遠の記憶』(文藝春秋)を読みました。
著者は、日本でもっとも人気のあるミステリ作家の1人であり、先日大腸がんで亡くなっています。本作品は最新作であると同時に、絶筆というか、遺作というべきなのかもしれません。この作者の作品の中でもっとも人気あったシリーズのひとつである帝都大学湯川教授が真相を解明するガリレオのシリーズです。
2部構成となっていて、前半第1部では、湯川教授と大学の同級生だった警視庁捜査1課の草薙管理官の部下の刑事である内海薫が、帰宅途中のスーパーでの買い物中に70代の男にナイフで刺される、という傷害事件が発生します。内海薫の命に別状はなかったのですが、入院する必要がありました。
まったく何の面識も接点もないと見られた内海薫と犯人の関係をガリレオこと湯川教授の示唆によって解明し、後半第2部ではその犯人にまつわる人間関係を追っていくと過去の事件、具体的には直木賞受賞の『容疑者Xの献身』と結びつく、という結末となります。なにぶん、ミステリですのであらすじは早々に終えます。
私はたぶんガリレオのシリーズは短編も長編も、もちろん、直木賞受賞の『容疑者Xの献身』も、湯川が准教授のころから教授に昇進してからも、また、草薙がいち刑事から管理官に出世し、内海がまだ登場しないころも登場してからも、ともかく、すべて読んでいると思います。
この作品を読むとすると、できれば多くのガリレオ・シリーズの作品を事前に読んでおいた方がより楽しめるのは当然です。少なくとも、『容疑者Xの献身』のあらすじなりとも把握しておく方がいいような気がします。逆にいって、有名作家が亡くなったからといって、この作品だけを読もうとするのはオススメできません。
また、特に第2部では、タイトルが「終活る」と書いて、「ふりかえる」と読ませていて、湯川も草薙も「終活」について何度か言及し、草薙の周囲、というか、内海をはじめとする警視庁捜査1課でも湯川と草薙の引退が話題になります。第2部のタイトルなりとも、作者の何らかの意図が感じられる言葉をキーワードにしている、と読む読者も少なくないものと思います。
私は従来から、伊坂幸太郎が決して遵法精神が行き届いているわけではないやんちゃなミステリ作品を書く一方で、この作品の作者である東野圭吾は実に遵法精神あふれる作品が多い、と感じていたのですが、絶筆となったのであろうこの作品で、少し見方を変える必要があるように感じました。
最後の最後に、私自身の好みからいえば、本書はガリレオシリーズとしては最高傑作のひとつかもしれませんが、この作者の作品としては、『白夜行』をもっとも高く評価しています。おそらく、『白夜行』に続く次点の傑作としてもガリレオシリーズではなく、『手紙』が私は好きです。

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