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2026年09月07日07:39

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小田正規『21世紀型通商政策への転換とその課題』(日本評論社)

小田正規『21世紀型通商政策への転換とその課題』(日本評論社)を読みました。
著者は、日本大学国際関係学部の准教授です。シンクタンクのご出身のようで、したがって、というか、何というか、本書ではぶっちぎりで難しい定量的な分析は示されていません。というか、ほとんど実証分析ではないような気がします。
まず、本書でも強調されている通り、私の通商政策に関する認識も同じで、1993年に実質的に妥結されたウルグアイラウンドの後に、WTOの場でドーハラウンドが開始されましたが、約25年前の今世紀初頭に実態的に破綻、というか失敗してすでに終了したオワコンとなりました。私は授業なんかでは婉曲に「頓挫」と表現したりしていますが、まあ、失敗して終了しています。
そのため、マルチの場での貿易交渉は二国間あるいは多国間でもWTO加盟国全体ではなく、いわば友好国間での自由貿易協定に重点が移ってしまいました。その上で、米国・メキシコ・カナダのUSMCAもありますし、世界のほかの国はともかく、とりわけ日本については、米国が抜けたもののTPPがCPTPPとして残り、さらにハイクオリティなRCEPも妥結しましたので、ほぼほぼ貿易の自由化、広い意味での貿易自由化の通商政策は一段落、大きく一段落したといえます。
ここでついでながら、本書ではまったく言及ないものの、「本来の貿易自由化」、あるいは、「狭い意味での貿易自由化」とは輸入ゼロを含めた数量制限を撤廃して関税化することを指します。すなわち、関税さえ払えば「輸入が自由にできる」という意味です。ただ、多くの先進国ではこの意味での狭い貿易自由化はかなり前に終了していて、数量制限を撤廃して関税化した後に関税率を引き下げるのも含めて「広い意味での貿易自由化」を指す場合が多くなっています。
本書では、サービス貿易については言及少ないながら、関税の歴史を振り返った後、食料自給率について議論し、付加価値貿易統計で見た貿易の姿を明らかにし、国境を越える前の措置としての規制制度間整合を考え、最後に、経済安全保障に着目しています。ただ、全体的に浅く広く概観した印象です。
例えば、食料自給率については、私の授業でも取り上げているフードロスの観点も取り入れており、一般にも判りやすく解説されています。ですので、出版社からしても学術書っぽく見えていますが、定量分析もほとんどなく、一般のビジネスパーソンでも十分読みこなせる内容となっています。その意味でも、オススメです。

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