斎堂琴湖『桜葬』(光文社)を読みました。
著者は、本書の奥付けでは会社員と紹介されています。2023年に『燃える氷華』で第27回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、その翌年にデビューしています。本書が2作目となります。一応、私は前作も読んでいます。なお、本書はすでに文庫版がでていますが、私は単行本で読んでいます。
とても複雑な殺人事件をモチーフにしたミステリです。舞台は埼玉県警であり、前作と登場人物は少なくとも警察の刑事はかなりの程度の共通します。したがって、シリーズといえるかもしれません。
冒頭、2023年3月の武蔵浦和駅で杖をついた男がホームからバラバラ死体を線路にばらまきペットボトルから液体をその死体の上にまいて火をつけ、ホームから500枚の1万円札もばらまき、しかも、最後に、武蔵野線の電車に十字を切って飛び込み自殺を果たします。
3ページほどのプロローグで、自殺した杖をつく男の視点からこの一連の場面を描写した後、第1部でその3年前にさかのぼって、2020年3月のコロナのパンデミックのごく初期に、浦和という名がつく駅への爆破予告があり、電車が止まって警察官が警戒と捜査に当たる場面が展開されます。この第1部も20ページ足らずのボリュームです。
そして、再び2023年3月の小説における現在に戻って、プロローグの事件の捜査が始まります。冒頭の杖をついた男、バラバラ死体を線路にバラまいて火をつけ、1万円札もばらまいた上に、電車に飛び込み自殺をする男の正体は、警察によって早々に突き止められます。したがって、どうしてこのような事件を引き起こしたのか、すなわち、Whydunnit を追求するミステリです。
スタートがあまりに衝撃的で、絶対に現実にはありえないプロットです。はい、小説でしか読めません。現実離れしています。まさに、フィクションの世界です。前作の『燃える氷華』と似た感想で、作為的すぎて複雑怪奇、初期の伏尾美紀作品みたいに、いろんなものを詰め込みすぎた印象です。
冒頭がもっともグロいのですが、ほかにも少しグロテスクな場面があったりします。その意味で、万人にオススメできるミステリではない気がします。もし映画化でもされたら、R13くらいの指定があってもおかしくないです
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