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2026年08月04日07:32

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玉木俊明『西洋史研究者をめざす人のために』(創元社)を読みました

玉木俊明『西洋史研究者をめざす人のために』(創元社)を読みました。
著者は、京都産業大学経済学部の教授であり、ご専門は西洋経済史、特に、近世のバルト海貿易、ということのようです。
実は私も京都大学経済学部では西洋経済史のゼミに所属していましたが、経済史については、文学部の歴史学からの研究と経済学部の経済学からの流れがあり、玉木教授は前者といえます。私の勤務する立命館大学経済学部の西洋経済史の担当准教授は後者の経済学からの流れであり、したがって、というか、何というか、立命館大学に来るまで非常勤講師のころにはマクロ経済学とかミクロ経済学の授業も経験ある、といったことを聞き及んでいます。
いずれの歴史学も、本書で指摘されているようにランケの研究の影響を強く受けている点は確かです。私も大学に入学した直後に岩波文庫の『世界史概観』を読んだ記憶があります。
経済学からの流れの経済史では、歴史の進み方に明らかなモデルがあり、マルクス主義経済学の史的唯物論の影響を強く受けている場合があります。そうでなければ、ノーベル経済学賞を受賞したノース教授のような制度学派です。本書では、東大の大塚先生の「西洋経済史序説」なんかも言及されています。マルクス主義的な史的唯物論は、原始共産制➜奴隷制➜封建制➜資本制➜社会主義➜共産主義、という生産関係により分類するモデルです。
私が大学で教えている経済学には、マルクス主義のカケラもありませんが、マクロ経済学の生産関数は単純化していえば、資本ストックと労働をインプットして付加価値をアウトプットとして得る、というものです。ついでながら、付加価値の合計がGDPなわけです。ただ、資本制より前の段階では資本ストック、すなわち、機械や建て屋などがそれほど蓄積されておらず、ほぼほぼ人力で生産が進められていました。
そこで、イングランドから始まる産業革命により、本書で指摘されているポメランツ的な大分岐が生じるわけです。私がよく言及するノーベル賞経済学者のクズネッツ教授は、世界には4種類の国しかなく、それは、先進国(developed)、後進国(undeveloped)、日本とアルゼンティンである、と指摘しています。その当時の時代背景からして、日本は後進国から先進国になった例外、逆に、アルゼンティンは先進国から後進国になった例外ということですので、先進国と後進国を分けるポイントは産業革命です。
楽観的な視点からのアシュトン『産業革命』とか、悲観的な視点からのマントゥ『産業革命』とか、いくつかの分析があり、現時点では、制度学派的な見方が一定のコンセンサスを得ているような気もします。
といったような経済史に関する蘊蓄は、私もそれなりに持っているのですが、本書では、学生や院生、さらに、若手の研究者向けに研究の進め方なども含めて、西洋史研究者をめざす人々へのアドバイスがいろいろと展開されています。

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