米澤穂信『倫敦スコーンの謎』(創元推理文庫)を読みました。
著者は、ミステリ作家であり、本書はほぼほぼ完結したはずの小市民シリーズの短編集です。
ですので、主人公は男女2人の高校生であり、小鳩常悟朗と小佐内ゆきとなります。2人は、たぶん、岐阜県と目される場所を舞台に、県立船戸高校の生徒であり、緩やかな同盟関係にあります。同盟関係の目的は、高校内で目立たず小市民でいること、もっといえば、2人のそれぞれの悪しき志向、すなわち、推理して、その推理を人に披露せずにいられない小鳩常悟朗、また、復讐をせずにいられない小佐内ゆき、のそれぞれの志向を封印して小市民を目指そう、ということです。
すでに、このシリーズは2年ほど前の『冬期限定ボンボンショコラ事件』で終結しており、2人は高校を卒業してそれぞれ別の進路を行くような示唆がなされています。本書は、いわばその前日譚であり、2人が高校1年の冬から2年の1学期にかけての時期の短編4話を収録しています。
あらすじは、収録順に、「桑港クッキーの謎」では、2人が高1の冬に船戸高校のOBの芸術家である縞大我氏がサンフランシスコ・ビエンナーレで黒熊賞を受賞し、ちょっとした話題になりテレビの取材で高校に残された縞氏の作品、県の美術展に出展した作品が見つかります。しかし、この作品が別の画家の模写であることが判明し、作品がオリジナルでなく模写であることを隠して出展していたのではないか、という疑惑が持ち上がります。
続いて、「羅馬ジェラートの謎」では、小鳩くんが小佐内さんに3学期の期末試験の後、郊外のショッピングモールに新しく出店したジェラートショップ「アバーネッティーズ」のジェラートをごちそうすることになりますが、フードコートのテーブルでジェラートを前に、ジェラートには手もつけずにじっと座っているスーツ姿の女性がいます。
続いて、「倫敦スコーンの謎」では、高2になって2人はそれぞれのクラスで、家庭科の調理実習でアフタヌーン・ティーのメニュー、すなわち、キュウリとトマトのサンドイッチ、茹で卵とバジルソースのカナッペ、さらに、スコーンを作ることになるのですが、小山内さんの班はスコーンが生焼けで失敗してしまいます。
最後に、「維納ザッハトルテの謎」では、サンフランシスコ・ビエンナーレで黒熊賞を受賞した縞大我氏が船戸高校に講演会で来ることになり、学生に自分の作品を見てもらうために作品を送ってきたのですが、地震が起きて作品が壊れたことを小鳩くんが確認したにもかかわらず、講演会当日にはキズひとつない作品が展示されたりします。
はい、基本ミステリであり、短編ですので殺人事件は起きませんが、主人公の小市民2人で謎解きに当たります。
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