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2026年06月23日07:56

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宮本弘曉『AI大格差』(日本評論社)を読みました

宮本弘曉『AI大格差』(日本評論社)を読みました。
著者は、一橋大学経済研究所教授であり、本書のp.�鵑如△汗賁腓蕨�働経済学とマクロ経済学、としています。
雇用や労働との関係において、AIにより生じる影響については、昨年2025年10月6日付けの日経新聞「経済教室」で東京大学の川口大司教授は、職業ごとのエクスポージャー、生産性への影響、雇用・賃金への影響の3つの側面を指摘しています。10年余り前に英国オックスフォード大学の Frey and Osborne による "The Future of Employment" と題する研究では、本書でも紹介しているように、職業ごとのエクスポージャーを推計して、どのような仕事 job が失われるか、に着目していました。
しかし、本書では、職業や仕事 job 単位ではなく、タスク単位でのAIの影響を考えています。もっと正確にいえば、タスク単位で仕事のタスク構造が変化する点を重視しています。私がよく使う例でいえば、手綱を取って馬を走らせる仕事とハンドルを操作してトラックを走らせる仕事の違いなわけです。
加えて、AIからのアウトプットを正確に把握し、責任を持った判断が下せるかも重視しています。ただ、過渡的にはこの判断は人間の仕事かもしれませんが、もっと先には判断そのものがAIのお仕事になる可能性を私は考えています。
さらに、そういった仕事やタスクの変化に応じた学び直しなどによるスキルの追加、あるいは、転職が可能な柔軟な労働市場への変化が求められる、と結論しています。
はい、私も大筋では同意します。その上で、2点だけ指摘しておきたいと思います。第1に、大きな技術革新に伴って、本書でも言及しているオーター教授らのグループの研究論文に示されているように、きわめて大雑把にいえば、低スキルと高スキルの仕事への労働需要が相対的に増加する一方で、中程度のスキルの仕事への労働需要が相対的に減少してきた、というのはここ30-50年で確かなことかと私も思います。
ですので、米国トランプ大統領が志向しているような製造業の工場労働者のような仕事は歴史的な視点からは逆行する可能性が高いと考えるべきです。他方で、低スキルと高スキルの仕事への労働需要増とともに、まったく従来になかった仕事が発生し、そういった仕事への労働需要も当然同時に発生している点は、いちいち例を上げることはしませんが、見逃すべきではありません。
第2に、より重要な点は、労働市場という場合、日本では外部労働市場=転職サービスとともに、内部労働市場=配置転換や人事異動で対応してきた部分が少なくない、という点です。「柔軟な労働市場」あるいは「労働市場の柔軟化」というのは、外部労働市場によって転職することだけをイメージし、労働サイドからは次の仕事が見つけやすい、使用サイドからは労働者の解雇がしやすい、といった点だけを想像するのは、日本の労働市場の歴史を考える上で間違いを起こすことになりかねません。すなわち、日本では内部労働市場の活用が盛んであり、長期雇用の下で生産現場から営業やほかのデスクワークに人事異動することもめずらしくないのは、多くの国民が知っていることと思います。
私は労働市場の柔軟化により、特に労働者の解雇がしやすい点だけを取り出して、かなり強引に政策的に進めようとするのはまったくの誤りだと考えています。リスキリングの学び直しも含めて、配置転換・人事異動により内部労働市場で対応できる、ないし、対応すべき課題もいっぱいあると、私は考えています。はい、ハッキリいって、現時点で「労働市場の柔軟化」が労働者を解雇しやすい使用者サイドのメリットだけに終わる可能性を私は強く危惧しています。

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