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2026年06月12日07:17

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市塔承『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』(講談社)を読みました

市塔承『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』(講談社)を読みました。
著者は、ミステリ作家なのでしょうが、本作品が第66回メフィスト賞を受賞してデビューしています。さらに、本書の巻末に第2長編を執筆中で、冬にも出版予定のような宣伝文句があります。
一見したところ、ややいびつな構成で、470ページくらいのボリュームのうち、序が4部に分かれていて300ページ余りを占めます。その序の後に、第1章と第2章と最終章が置かれていて、序を除いて本編といえる部分は150ページに満たないボリュームです。というのも、非常に複雑なメタ構造になっていて、序だけで5話くらいからなる作中作品を作中の登場人物が読む、という構成になっているからです。
まず、舞台は神聖ニアニ共和国、でも、200年ほど前までは君主をいただく神聖ニアニ王国でした。時代は、たぶん、現代に近い印象です。主人公は、おそらく、エリメであり、首都ルッリにある大学の大学院生でしたが、意識と記憶を失って郷里で療養しています。というか、療養して、意識を取り戻したところから序が始まります。
長々としたボリュームの序は、主人公のエリメが弟のキーとともに首都ルッリに戻る車中で作中作のズバリ「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」を読みます。そして、この作中作の「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」もさらに作中作があって、私は記憶力に難があるので順不同ながら、『ヒアニビレの業績録』、『砂漠に残された真実』、『本泥棒と少女』、『水神叙事詩』であろうと思いますが、見逃しているのがるかもしれません。
序を終えて、というか、何というか、エリメが首都ルッリに帰り着きます。エリメの専攻は化学なのですが、ルームメイトは3人いて、ギルロウが物理学、モアドレが生物学、とりわけ遺伝学、そして、イアポーレが電磁気学のそれぞれ専攻です。序を終えたという意味で、わずか150ページほどながら本編でエリメが郷里の両親のもとでの療養を必要とし、一部なりとも記憶を失った理由が明らかにされます。そこは読んでみてのお楽しみとしかいいようがありません。驚愕の事実、といえるかもしれません。
ボリュームある序は読みこなすのに苦労する可能性がありますが、実は、序の中の第3部なんかは第1部と第2部のサマリを提供してくれていたりしますし、それほど難解であるわけではありません。ただ、日本人が必ずしも得意ではない宗教が国の大きな礎になっていますので、そのあたりは覚悟しておく必要がある、という気がします。最後に、私は第2長編は読まないかもしれません。ビミョーなところです。

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