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2026年05月18日07:49

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前田安正『AIに書けない文章を書く』(ちくまプリマー新書)を読みました

前田安正『AIに書けない文章を書く』(ちくまプリマー新書)を読みました。
著者は、文章コンサルティングファーム「未來交創株式会社」代表取締役だそうですが、長らく朝日新聞社で校閲のお仕事に携わってこられたようです。
本書のタイトルを見て、たいそう大上段に振りかぶって力みかえった印象を受けますが、まあ、半分は売上げを意識した編集者の意向を反映しているんではないか、と私は想像しています。よく読めば、「現在の技術水準では」といった趣旨の但し書きが見つかると思います。はい、そのうちに、というか、ここ2-3年でAIの文章能力は多くの人間を凌駕するんだろうと思いますから、本書の賞味期限は短い可能性があります。
生成AIが急速な発展を見せて、人間が自ら考えて文や文章を書くだけでなく、生成AIの助けを借りた文章もいっぱい目にするようになった現在、人間の思考や感情に立ち入ることも、もちろん、表現することもできない生成AIには不可能な文章を書くという作業について考えさせられる奥の深い本だといえます。
加えて、私のように、大学生には卒論を、大学院生には修士論文を指導することが多い教師の身としてはとても参考になる部分があります。もちろん、本書で考えている対象は学術論文というよりは、事実関係だけでなく感情的なものも含めたリポート的な文章、それも、それほど長くない文章、という感じだと思います。
私独特の本書の読み方かもしれませんが、やや学術論文やリポートの書き方に引きつけてレビューしたいと思います。まず、文章を構成する文は短く、というのはすべてに共通していることと思います。学術論文やリポートでも「一文一義」を大学では教えています。本書でもシンプルな文をオススメしているように見受けます。
少し学術論文やリポートとは異なりますが、本書では、よく言及されている5W1Hについては、往々にしてwhyが抜けている、と指摘しています。でも、少なくとも学術論文では、論文で取り上げたテーマについてのwhy=理由は必須です。私は授業の際にジョークとして、どうして卒業論文を書くのかといえば、卒業の必修単位だからというのがホントのところだけれど、そのように書くわけには行かない、と教えています。当然です。
本書でも同じですが、かなり曖昧な概念的な用語については注意して、場合によっては定義を明確にするように、あるいは、比較級の形にして、「AはBよりxx的」と書くように、私は注意を促す場合があります。例えば、効率的、多様性、合理的、近代化などです。
そういったものを含めて、文や文章を書く上で、とても参考になる良い本だとオススメできます。ただ、私が本書と違う見方をしているのは、良い文章を書くためには、良い文章を読むことが良いトレーニングになるという点です。本書はこの点は必ずしも重視していないようです。
ほかに、文章の定義が、冒頭第1章で「大辞林」から引いている定義と第3章の「日本大百科全書」で大きく異なっている点も気にならないわけではありませんし、最初に書いたように、AIはそのうちに軽く人間の文章能力を超えるでしょうし、本書と逆の視点でAIにしか書けない文章もあるでしょうし、いろいろと指摘しておきたいポイントはありますが、文や文章を書く人は読んでおいて損はないと思います。

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