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2026年05月11日07:41

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野村総合研究所コンサルティング事業本部『日本の差別化戦略』(東洋経済)を読みました

野村総合研究所コンサルティング事業本部『日本の差別化戦略』(東洋経済)を読みました。
著者であるコンサルティング事業本部が所属する野村総合研究所(NRI)は、1965年に日本初の本格的な民間総合シンクタンクとして設立され、2025年で創立60周年を迎えたそうです。
本書の最大の問題意識は人口減少とそれに伴う人手不足です。それらに加えて、生産性の低さが経済成長の足を引っ張っているという事実も忘れるべきではありません。こういった日本の弱点に対して、国や地方、企業、また、個人がどのように対応すべきかを本書では議論しています。
ですので、冒頭章で人口減少や人手不足をデータで概観した後、続く3章で国だけでなく地方の戦略の重要性を指摘し、企業の成長シナリオを論じ、最後に個人の働き方やその基礎となるキャリア形成について分析しています。
まず、何と言っても、国と地方の戦略でもっとも重荷になるのが医療や介護をはじめとする社会保障経費です。また、ここでは、私の所属する高等教育の役割も議論されています。留学生対応だけではなく、大学での英語授業の拡大をひとつの解決策として考えています。私は留学生向けの修士論文指導を英語でやっていますが、それほど簡単ではないのは容易に理解できると思います。労働力不足についても、いくつか興味深い試算を提供しています。
第1章の最後のpp.34-35では、人口減少を前提とした豊かな社会実現について、3つの視点を提供しています。このあたりは、読んでみてのお楽しみです。
第2章の国や地方向けの差別化戦略では、東京はいいとしても、地方の企画人材やグローバル人材の偏在を分析し、国内外の経験を収録しています。ただ、コンサルらしく失敗例は見受けられません。
第3章の企業向けの成長戦略では、単に規模別だけでなく、グローバル大企業、グローバルニッチ企業、地域の大企業、地域のニッチ企業、フォロワーやスタートアップの中小規模企業の5つのカテゴリーから分析を進めています。
最終章の個人向けの視点では、企業スペシフィックなスキルアップではなく、キャリア自律を目指す社会情動的スキル(SES)を提唱し、北欧諸国の例などに言及しています。
最後の最後に、いつもこういったコンサルの事例紹介を含めた分析結果を見るにつけ、私なりに考えるのですが、成功例の紹介の裏には失敗例もいっぱいあるんだろうな、という気がします。加えて、この成功例が実践できないからこそ、現在の日本があるのではないか、と考える読者もいっぱいいそうです。

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