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2026年04月26日07:54

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瀬尾まいこ『私たちの世代は』(文春文庫)を読みました

瀬尾まいこ『私たちの世代は』(文春文庫)を読みました。
著者は、私も大好きな人気の小説家です。
この作品はいわゆるコロナ文学です。すなわち、かなり長期に渡って、コロナ禍の開始時2020年に小学生だった2人の女子、何の接点もなかった2人が、中学生、高校生、そして、大学生活も卒業に近づいた就活の時期までをカバーしています。ですので、本書の単行本が出版された2023年はもちろん、私が読んだ文庫本が出版された今年2026年から見ても、この作品のラストは2030年より少し先の近未来、ということになります。
主人公2人は、まず、シングルマザーながら明るく太っ腹な肝っ玉かあさんに育てられた岸間冴、そして、児童教育に造形深い母親に育てられた江崎心晴、となります。2人は大学生活の最終盤となる就活の場で出会うことになります。それまでは、まったく境遇の異なる主人公2人が別々・独立に描かれます。その叙述の切替えが、いかにも、という感じで、瀬尾作品らしく、とてもさりげないので、私のような表面だけ追うような薄っぺらな読み方では、最初は少し混乱したりしました。ただ、すぐに、2人の主人公の境遇や行動、考え方などが大きく異なりますので、間違えることはなかろうと思います。
岸間冴の方は、中学生くらいから、母親が夜の商売であるため、いじめにあいますが、蒼葉という実に力強い味方を得て、というか、母親とともに「発掘」して、明るく強く生きてゆきます。でも、その母親は高校を卒業する前に亡くなったりします。他方、客観的に見て実に恵まれた境遇にあるハズの江崎心晴は、長らく引きこもりになりますが、同じ引きこもり仲間、というか、メッセージだけ交わす相手のカナカナとの交流に支えられて、もちろん、理解のある母親もいて、立派に通信制高校から大学も終えつつある段階で就活に励んでいます。
この作者らしい、決して力みかえるわけではなく、ごく自然に人生を送り、決して人から大きな尊敬を集めるわけではないものの、心豊かな生活を送る人々を描き出しています。世間一般は決して平等でもなんでもなく、ひょっとしたら公平ですらなく、親ガチャもあれば、所得の大きさ、学歴や何やの格差が大きいわけですが、しっかり生きて幸せをつかんでいる人がいっぱいいることを実感できるいい小説でした。

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