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2026年04月13日07:48

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北山猛邦『神の光』(東京創元社)を読みました

北山猛邦『神の光』(東京創元社)を読みました。
著者は、2002年『「クロック城」殺人事件』がメフィスト賞を受賞してデビューしたミステリ作家です。物理トリックと幻想的な世界観に定評があるということのようです。私はアンソロジーに収録された短編しか読んだことがなく、事実上、初読の作家さんでした。
本書はすべて消失トリックを扱った5話の短編を収録しています。順に、「1941年のモーゼル」では独ソ戦のさなかにナチスに狙われた宝石部屋を擁する屋敷が丸ごと消失した昔話を主人公が聞きます。「神の光」では、ジイサンから聞いた話を孫がするのですが、米国の砂漠にあったカジノが街ごと翌朝に消失します。まさに作者が得意とする物理トリック、それも壮大な物理トリックであり、この本でもっともレベルの高い謎解きです。
「未完成月光 Unfinished moonshine」では、ポオの未完の未発表原稿を手にした友人から相談された主人公が謎解きに挑戦します。その小説では、小屋から出てきた少女が突然死し、やがて小屋が消失します。「藤色の鶴」は、時代を将来までカバーするSFめいた雰囲気ある作品で、1055年の平安時代、1999年のほぼほぼ現代、2055年の将来の3時点で同じ家系の人物と見なせそうな人が消失します。合理的な謎解きではないと見なす読者もいるかもしれません。「シンクロニシティ・セレナーデ」は夢の中で館が消失するというもので、途中まではファンタジーかと思わせますが、何とか近代物理学に反しない謎解きがなされます。
著者は物理トリックとともに幻想的な世界観に定評があると最初に紹介しましたが、その2点がグラデーションになって5話の作品に現れている気がします。物理学と幻想的文学とは、ちょっと見で相反するような気がしますし、読者によっては作品の好き嫌いが分かれる可能性もあります。
私の感想としては、2番目に収録されている表題作の「神の光」のトリックがもっとも壮大で、謎解きとしても最後のオチとしても出来がいいように感じました。ただ、多くの収録短編が、いわゆる安楽椅子探偵が謎解きを行っており、ホントに正しい謎解きなのかどうかを確認するすべがありません。その意味で、読者によっては、納得感が得られない場合もありそうな気がします。

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