岩崎正洋[編}『SGDsは実現できるのか』(勁草書房)を読みました。
編者は、日本大学法学部教授であり、各チャプターの著者も日本大学法学部の教員が多くなっています。なぜかというと、日本大学法学部に付属されている5研究所の共同研究としてSDGsをテーマとすることになリ、その成果を取りまとめたからだそうです。
ですので、それほど統一感はあありませんし、中にはSDGsとはそれほど関係のありそうもないチャプターも含まれていたりします。第1章のタイトルでは法律学からSDGを捉える、としていたり、あとがきでは政治学はSDGsに学問的貢献をしていない、といった記述があったりします。また、第7章なんて、ほとんどSDGsとは関係が見受けられず、編者からチャプター著者に執筆要求の無茶振りがあったのか、チャプター著者が編者に無理に自分の論文をねじ込んだのか、不明ながら、統一感のない構成となっています。
取りあえず、本書前半第2章から第4章で焦点を当てているようなジェンダー格差の問題が法律学や政治学からの学問的貢献が大いに期待できる分野だと、私も考えます。ただ、繰返しになりますが、本書第7章の文学的な視点からのものも含めて、SDGsはきわめて幅広い経済社会生活分野に関連していますので、「何でもあり」なのかもしれません。
経済学や経営学に引きつけて考えると、本書第5章では企業のCSR活動やESG投資を取り上げ、ISO26000とも関係づけた分析が展開されているチャプターが注目です。私自身はきわめて素朴に、ESG投資とは企業と投資家の関係を律しており、CSR活動は企業とステークホルダーの関係を考え、SDGsは最大限幅広く企業と社会全体との関係について、あるいは、地球のサステイナビリティへの企業の貢献を考えるもので、ESGとCSRは必ずしも交わりませんが、SDGsはESGとCSRの両方を包含する、と考えています。こういった企業活動とSDGsの学問的関係はどうもこのチャプターでは抜けているように感じました。
また、冒頭第1章で、SDGsの前の国連目標であるMDGsについて、国連ミレニアム・サミットが2009年(p.19)としていて、明らかに、2000年9月の誤植なのですが、いかにもSDGsやMDGsに関する研究の不足、というか、本書は決してSDGsウォッシュではないものの、どうも意識が高くない印象を持ちました。
ものすごく我田引水ながら、工学的な分野は別にして、やっぱり、SDGsについては経済学や経営学の分析がオススメのような気がします。
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