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2026年03月20日08:21

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善教将大『民度』(中公新書)を読みました。

善教将大『民度』(中公新書)を読みました。
著者は、関西学院大学法学部政治学科の教授です。
表紙画像の副題にもあるように、本書は日本の民主主義が危機とはいわないまでも、転換期にある中で、民度を通じて民主主義を考えようと試みています。ただ、私のイメージでは、専門外ながら、民度とは経済データのように計測できる定量的な指標ではなく、何らかのネガな印象を持って用いられる用語だと考えていました。例えば、「民度が低い」という表現は「民度が高い」よりも頻度高くしばしば使われるように思いますし、「X国と日本では民度が違う」といえば、X国の民度は日本より低いというインプリシットな表現だと受け止めています。
しかし、本書では、失業率や成長率といった経済データのような定量的な計測を試みるのではありませんが、一定程度の限定的な範囲ながら、高いか低いかを考え、その高低を決める要因についても分析を進めています。
まず、冒頭2章で民度に関する概念的な整理や認知度について考えた後、第3章からコンジョイント実験によって民度の決定要因を探っています。ポイ捨て率、図書館利用、大卒者割合、自粛協力率、投票率、支持政党などによる決定要因を考えています。そのあたりは、読んでみてのお楽しみですが、続いて、投票率や党派性を深堀りした分析に進み、さらに、年齢と民度の関係、すなわち、若い方が民度が低いかどうか、第7章で2024年の兵庫県知事選挙の結果が民度とどう関係しているか、にまで考察を進めています。
このあたりも本書のハイライトですのでレビューで取り上げるのではなく、読んでいただくしかありませんが、1点だけ、党派性と民度はかなり強いつながりを本書では認めています。私自身は左派リベラルだと感じていますので、同じ党派性の人が多いと民度高いと感じますし、たぶん、ネトウヨの人たちはそういった同じ党派性の人のグループを民度高いと感じる可能性が高い、というのは事実だろうと思います。
最後に、第7章で取り上げられている2024年兵庫県知事選挙結果ですが、はい、私も選挙結果の報道に接した際には、兵庫県民の民度が低いと感じました。県立大学の無償化がそこまで争点になっていたのも知りませんでした。逆に、本書のスコープ外ではありますが、1週間ほど前の石川県知事選挙の結果には、民度がどうしたかはともかく、大きな驚きを受けました。
最後の最後に、本書でも力説されている通り、民度とも関係させつつ、問題の原因を個人の意識に帰属させる議論には疑問を感じるべきです。私が授業で指摘している通り、交通安全を心から願うよりも、速度制限や信号を設置した方が交通事故を減らす効果が大きいことは明らかです。核兵器廃絶や戦争反対も同じことです。平和を愛する個人の意識だけで解決できるかどうかは疑問です。

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