エルモア・レナード『ビッグ・バウンス』(新潮文庫)を読みました。
著者は、米国の小説家であり、カウボーイたちの西部小説から本作品で現代ノワール小説に転じています。
舞台は米国の5大湖周辺のリゾート地ジェニーヴァ・ビーチで、主人公はジャック・ライアンです。かつてはマイナーリーグの野球選手をしていたこともありますが、現在は流れ者=季節労働者として、ピクルス向けのキュウリの摘み取りをしています。働き先の農園リッチー・フーズの社長であるレイ・リッチーの愛人のナンシー・ヘイズと出会います。ナンシーは奔放なハイティーンで、よその家の窓ガラスを割ったり、不法侵入などでスリルを求める生活を送っていたりします。
ジャックは作業頭に大立ち回りを演じて裁判沙汰になり農園をクビになります。町から出て行けといわれますが、その裁判に関連した治安判事、ジェニーヴァ・ビーチでカバーニャ=コテージをいくつか所有している治安判事のミスター・マジェスティックのリゾートで雑用係として働き始めます。親しくなった仲で、ナンシーはリッチー・フーズの季節労働者への給料5万ドルの強奪をジャックに持ちかけます。
ということで、出版が1960年代後半ですから、それほど荒唐無稽なお話ではありません。荒唐無稽ではない、という意味は、禁酒法下の大恐慌時代、1930年代の Bonnie and Clyde、すなわち、「俺たちに明日はない」と題して映画化された実在の2人のような物語を想像して読むことに比較して、という意味です。どうして、そういう発想になったかといえば、表紙画像の帯に「あんた、いったい、何発撃ったんだよ?」とありますので、発砲しまくって銀行強盗を繰り返す、というイメージを持ってしまったからです。ですので、Bonnie and Clyde の一行のようにド派手、というか、何というか、拳銃をぶっ放しまくる、というストーリー展開ではありません。
その分、地味なお話と感じないでもありませんが、それでも、なかなかビミョーに面白いです。ナンシーの実に適当に振る舞う遊び心、奔放さに何ともいえず、本能的に引かれるジャックの心理や行動・言動が、実にたくみに微妙なラインで描写されています。
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