橋本努・金澤悠介『新しいリベラル』(ちくま新書)を読みました。
著者は順に、北海道大学大学院経済学研究科教授とシノドス国際社会動向研究所所長、および、立命館大学産業社会学部現代社会学科教授だそうです。
まず、本書ではリベラル派の衰退について事実関係を示しています。はい、その通りだと思います。本書のスコープを超えて、先月2月の総選挙でも立憲民主党が公明党に取り込まれて新党を結成した上で選挙でも大敗した、という事実は隠しようがありません。そういったリベラルの衰退を考える際に、本書ではかつての保守vs革新、という構図からの変化を基に、実は、旧来リベラルではなく、本書のタイトルになっている新しいリベラルはそれほど衰退していない可能性がある、という主張を数千人規模の社会調査に基づいて検証しようと試みています。
その新しいリベラルの特徴として、3点上げています。すなわち、(1) 旧来リベラルの弱者保護ではなく、成長支援型の社会福祉、(2) 従来の高齢世代支援ではなく、子育て世代や将来世代への支援、(3) 新しいリベラルは反戦護憲などの戦後民主主義的な論点には強くコミットしない、ということになります。
そして、社会調査結果の分析に先立って、新しいリベラルの理論的背景をなす4つの潮流を考えます。第1に、1990年代の英国労働党のブレア政権の理論的基礎となったギデンズの『第3の道』、第2に、エスピン-アンデルセンの『福祉資本主義の三つの世界』、第3に、ベッラメンディの『先進的資本主義の政治』、そして、第4に、マッツカートの『ミッション・エコノミー』です。一応、私はエコノミストですので『ミッション・エコノミー』は読みましたし、『第3の道』と『福祉資本主義の三つの世界』の2冊は大雑把に内容を把握していますが、『先進的資本主義の政治』についてはよく知りませんでした。
その理論的解明の上で、社会調査結果から日本における6グループを抽出しています。すなわち、新しいリベラルのほか、従来型リベラル、成長型中道、政治的無関心、福祉型保守、市場型保守、となります。それぞれが占めるシェアや特徴などはp.240表6-4に簡単に取りまとめられており、その後に詳細な分析結果が続きます。そのあたりは読んでみてのお楽しみです。
最後に、私自身の政治経済的な傾向は、おそらく、新しいリベラルと従来型リベラルの間のどこかにあるような気がします。
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