畠山丑雄『叫び』(新潮社)を読みました。
著者は、小説家であり、京都大学文学部のご出身です。
本作品は第174回芥川賞受賞作品です。一応、お断りですが、表紙画像は単行本のバージョンを引用していますが、私は『文藝春秋』2026年3月特別号にて、選評や受賞者インタビューとともに読んでいます。ですので、単行本の読者よりは、ある意味で、情報は豊富かと考えています。
まず、舞台は大阪府茨木市です。我が立命館大学は茨木にもキャンパスがあって、私は何度も授業に通ったことがあります。でも、それほど土地勘はありません。それはともかく、主人公は30歳を過ぎた地方公務員らしいのですが、結婚を考えたお相手がいて、両者の中間地点の茨城に引越してまでしたのですが、そのお相手に振られて、自暴自棄になって金遣いが荒くなったところで、銅鐸作りの先生に出会い銅鐸にのめり込みます。
ストーリーもさることながら、関西言葉での会話のテンポがいいです。かつての川上未映子の芥川賞受賞作「乳と卵」のようでした。ただ、それは私が関西出身だからという面がある可能性は否定しません。ですから、島田雅彦の選評では、読者の東西の出身によって評価が分かれる可能性が指摘されています。すなわち、関西出身者には高く評価されそうだ、という指摘です。
もうひとつ、小説の重要な要素に「聖」があります。社会福祉によって「聖」を支える必要性については、私自身も「聖」のスコープをもう少し芸術くらいまで広げて賛成です。その意味で、朝日新聞で報道された「稼ぐ博物館へ 財務省以降」という記事で、入場料などの自己収入比率上昇というのは、とても疑問です。
最後の最後に、山田詠美の選評に私が激しく同意するのは、最後のエピローグがまったく不要、という点です。
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