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2026年03月07日08:54

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井上真偽『ぎんなみ商店街の事件簿』Sister編とBrother編(小学館)を読みました

井上真偽『ぎんなみ商店街の事件簿』Sister編とBrother編(小学館)を読みました。
作者は、覆面ミステリ作家であり、氏名や年齢そのた男女の性別すら公開していません。ただ、東大工学部のご出身らしいです。私は『アリアドネの声』ほかを読んだことがあります。本書は、すでに文庫化されていますが、私が読んだのは単行本の方です。
舞台は、横浜にあるぎんなみ商店街であり、そこで起こった3事件を別の視点から真相解明しようと試みています。まず、商店街にある串焼き店「串真佐」の三姉妹、すなわち、派遣社員として不動産会社で働く内山佐々美、主人公的に視点を提供する内山都久音、しっかり者で見た目もかわいい小学生の桃のSister編、そして、編集者だった母親を亡くし、父親の海外赴任中というマンション住まいの四兄弟、すなわち、フランス料理店で働くイケメン料理人の木暮元太、高校生でどちらかといえば勉強が苦手な木暮福太、中学生で勉強のできる木暮学太、小学生でサッカーをやっている木暮良太のBrother編です。
事件は、第1に、味噌や醤油を卸す商売から始まった個人商店「袴田商店」に、車がつっこんで運転手が死亡します。大した事故ではなかったにもかかわらず、事故の衝撃で膨らんだエアバッグに運転者が食べていた焼き鳥の串が喉をついてしまうわけです。良太が目撃者になって、警察の聴取などを受けたりします。第2に、商店街の楽器店「エンジェル楽器」経営者の娘である長谷川詩緒がリサイクルコンクールに出品しようとしていた竹串を使った作品が、長谷川詩緒の通う中学校の美術室で何者かに壊されます。第3に、アンケートに回答して誘拐されるという都市伝説が流行っている中で、内山佐々美がアンケートに回答してミステリーグルメツアーに行くといって行方不明になり、脅迫状めいた文書が届きます。
これら3事件、それぞれ、真相が解明されるのですが、Sister編とBrother編で異なる真相が用意されています。出版社では「パラレル・ミステリ」と称していますが、どちらも、論理的にはあり得る多重解決ミステリといえます。
コミカルな面もあるミステリで、商店街で高級宝石店「ジュエリー神山」を経営す神山園子が不思議な役回りを演じ、長谷川詩緒や木暮学太が通う中学校で外国語の非常勤講師をしているタイ人のクオーターのマイカ先生、「ラーメン藤崎」を経営する藤崎勝男などなど、キャラの立ったサポートメンバーもいっぱいいて、とても読み応えがあります。いずれにせよ、同じ事件の多重解決というミステリですから、2冊とも読むことが絶対に必要です。ただ、読む順番はどうなのでしょうか、私は両書のISBN番号順にSister編を先に、Brother編を後に読みました。文庫本のナンバリングもそうなっているようです。ただ、逆に読んでも大きな差はないようにも感じます。
最後の最後に、続編である『白雪姫と五枚の絵 ぎんなみ商店街の事件簿 2』もすでに出版されていて、私はこれも読みたいと考えて図書館の予約を待っているところです。

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