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2026年02月16日08:36

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岩田一政・日本経済研究センター[編著]『2075 次世代AIで甦る日本経済』(日本経済新聞出版)を読みました。

岩田一政・日本経済研究センター[編著]『2075 次世代AIで甦る日本経済』(日本経済新聞出版)を読みました。
編著者は、私と同じ内閣府ご出身で日銀副総裁も務められた大先輩のエコノミストです。
本書では、現状維持の停滞の未来、AIの活用が進んで明るい展望が持てる改革の未来、そして、現状維持よりももっと悪い悪夢の未来の3つのシナリオを示し、本書と同様のタイトルの日本経済研究センター(JCER)の長期予測「2075年 次世代AIでよみがえる日本経済」の研究成果を基にした長期の将来予測です。そもそも、約50年後の2075年には私は生き長らえていないでしょうし、経済学的な予測がそこまでのことを可能にできるかどうかは疑問ですが、あくまで、可能性としての将来予測、ということで考えておくにとどめるべきだという気がします。
現状維持的な未来では、世界的に汎用AIの導入が進む一方で、日本では遅れが目立つものの、総人口は9000万人台で下げ止まる一方で、改革が進めばAIの導入によって医療や介護を軸にした成長が達成され、総人口も1億人超を維持する、ということになります。悪夢のシナリオでは世界的に保護主義が蔓延し、日本国内でも格差が拡大する一方で貧困も増加し、社会保障は破綻する、ということになります。
改革が進めば、ケインズの「わが孫たちの経済的可能性」にあるような労働時間の大幅な削減が可能となり、教育投資の拡大による人的資本の強化が図られ、現在のようなメンバーシップ型ではないジョブ型の雇用がさらに普及し、繰返しになりますが、人口は1億人を維持できることになり、GDPの規模も世界4位にとどまる、という未来が描かれています。
ではどうすればいいのか、については4章で改革シナリオが示されているのですが、現時点でいわれていることの寄集め、としか私には見えませんでした。この改革シナリオでは、いいところ現状維持の停滞の未来のシナリオが実現されるだけなのではないか、という疑問が残ってしまいました。ただ、さすがに、狭い意味での経済だけではなく、カーボンニュートラルや世代間格差などのテーマにも手を広げており、日本社会全体を視野に収めた幅広い議論が展開されています。
さらに、単なる方向性や印象論だけではなくデータの裏付けが示されていますので、それはそれで参考になる部分が少なくないような気がします。私自身は2章の現状分析や3章の標準的なシナリオ設定の議論が勉強になりました。参考文献もしっかりしています。

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