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2026年01月30日08:28

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柳広司『コーリャと少年探偵団』(理論社)を読みました。

柳広司『コーリャと少年探偵団』(理論社)を読みました。
著者は、ミステリ作家だと私は思っており、『ジョーカー・ゲーム』をはじめとするD機関のシリーズを私は愛読しています。数年前に『アンブレイカブル』(角川書店)を読んだ後、少しご無沙汰していると思ったら、最新刊の本書はジュブナイルのミステリです。
タイトルからピンとくる人はかなりの文学通であり、本書はドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』のうちの父親フョードルが殺された部分をコーリャくんの視点からリライトしてミステリに仕上げています。
ですので、主人公は新制中学校に通う13歳、本人の言い分ではもうすぐ14歳になるコーリャ・クラソートキンです。忠実な副官=子分はスムーロフであり、少年探偵団の中核を成します。ベレズウォンという雑種の犬を飼い、母親には頭が上がらず、人格家でもある教師のダルダネロフにしばしばピンチを救われます。
もちろん、カラマーゾフ家の父親フョードルや三兄弟も登場します。ただ、本書はジュブナイル向けということを意識してか、スメルジャコフがフョードルの私生児ではないか、という点には言及がありません。三兄弟の末のアリョーシャ(アレクセイ)は、ゾシマが亡くなって修道院を離れますが、まだ還俗していません。
『カラマーゾフの兄弟』を読んだ人は決して多くないと思いますが、読んだ人であれば、視点を提供する主人公がコーリャになったところで、殺されたのが三兄弟の父親のフョードルである点はご存じのことと思います。この点も変わりありませんし、フョードルが持っていた3000ルーブルという大金が紛失している点も同じです。誰が裁判にかけられて、どういう判決が出たかも原典通りです。
ただし、繰返しになりますが、日本人の中で『カラマーゾフの兄弟』を読んだ人は決して多くないでしょうし、本書が対象読者に想定している小学校学年や中学生くらいまでであれば、ほぼほぼ通読した人はいないと思います。その意味で、その年代の少年少女にはなかなか痛快なミステリとして楽しめる気がします。
私が小学生高学年だったころは、こういったミステリ仕立てのジュブナイル小説といえば、江戸川乱歩の明智小五郎シリーズや海外モノでいえばホームズよりはルパンだったような気がします。本書も、そういった大昔のジュブナイル向けミステリと同じで、やや大時代的、というか、現代向けではありませんが、それなりに楽しめるし、スメルジャコフの設定のように若い世代の読者にも配慮されている気がしました。ただ、「オッカムの剃刀」はとても重要な見方ながら、少し難しいかもしれません。

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