背筋ほか『令和最恐ホラーセレクション クラガリ』(文春文庫)を読みました。
著者は、ホラー小説家たちであり、本書は6話の短編を収録したアンソロジーです。
収録順にあらすじを概観します。まず、背筋「オシャレ大好き」では、高級アパレルブランドのショップに勤める女性、その昔には「ハウスマヌカン」といっていたような気がする販売員が、お客さんと話していて急に「えっ?」となる場面がとっても怖いです。高価なファッションと消費欲望の裏に存在するある種の呪いが透けて見えます。続いて、澤村伊智「鶏」では、主人公が以前に出版社の編集者をしていたころのお話で、頼まれて深夜のオフィスで来訪者を応接し、少しオドオドした態度の男性が話し始めたのは鶏を食べることについてでした。続いて、コウイチ「金曜日のミッドナイト」では、取材でやってきたテレビディレクターが主人公で、テレビのディレクターであると同時にYouTuberでもあり、インタビュー内容が並べられているだけなのですが、取材を進めるとともに、その街全体に漂う不可解で奇妙な雰囲気、何かのズレ、などが増幅されてゆきます。
続いて、はやせやすひろ×クダマツヒロシ「警察が認めた<最恐心霊物件>」では、YouTubeチャンネルに届いた連絡から、同棲を始めた女性が借りた部屋に幽霊が出て、警察に相談すると心霊物件だといわれてしまいます。続いて、栗原ちひろ「余った家」では、結婚を控えた主人公の女性が、婚約者とともに家族がナイショで所有している田園調布にある空き家を訪れると、いろいろと不可解な謎に遭遇します。主人公家族の御蔵家そのものがとってもブラックです。最後に、梨「恐怖症店」では、黒衣と助手の少年が「恐怖症」を売る店があり、プールの授業に欠席するために巨大水槽恐怖症を買ったのを皮切りに、自分の情のひとつと引換えに多くの恐怖症を買って行く少女がいたりします。
はい。とっても季節外れに怪談を読んでしまいました。ひとつにはNHKの朝ドラ「バケバケ」を熱心に見ているせいかもしれません。人知を超えて近代科学では解明できないような奇怪な現象や怪異な存在が登場するわけではありませんが、違和感と呼ぶにはあまりにも大きな歪みを感じるホラー短編集でした。
ログインしてコメントを確認・投稿する