ゆったりとしたペースで進んできたドビュッシー全曲演奏会もいよいよ最終回。
全曲演奏会をやるにあたって最難関のハードルとなるのが練習曲集。この曲があるがゆえに全曲演奏会を断念したピアニストも多いに違いない。
作曲年代順に進んだこのシリーズも最晩年の作品集となる。
三浦友理枝:ピアノ
01.慈善団体「負傷者の衣」のための小品
02.エレジー(悲歌)
03.英雄の子守歌
04.燃える炭火に照らされた夕べ
05.6つの古代碑銘(エピグラフ) ピアノ・ソロ版
<休憩>
06.12の練習曲
前半は比較的ゆったりした曲が多い。
音数は少ないが、現代音楽に近く、難度は高そうだ。
リストの晩年の作品のように、斬新で渋い。
そして古今のピアノ曲でもここまで難しいのはそうないだろうと思わせる練習曲集。
ドビュッシーの革新性がよくわかる曲集であり、しかも技巧の披露に留まらない哲学的とも言える内容を持つ。
その深い詩情を表現するのは至難の技であろう。楽譜を再現させること自体がすでに至芸なのだから。
前半と後半の間でいったんステージを退く。納得である。ちょっとでも息を抜く時間は必要だろう。
指使いがよく見える席で、それを見ているだけでとんでもない超絶技巧曲であることがよくわかった。
彼女は彼女だけの音色を持つ。これがピアノの音だろうかというような澄んだ高音に、どんなに強い打鍵でも濁らない低音。まさにドビュッシーに適した音色だと言える。
そしてピアニストとしては驚くほど小さな手なのに実は技巧派でもある。
そんな彼女でもこの練習曲には苦労したらしい。しかし演奏にそんな苦労の痕は感じさせない。さすがである。
全く不安を感じさせない演奏だった。技巧の向こうにある深淵な音楽世界を感じさせてくれた。
いまさらではあるが、やはり追いかけ甲斐のあるピアニストだった。
この曲集がリサイタルのプログラムに乗ることは珍しい。
過去に一度だけ児玉桃の演奏で聴いたことがあり、それも素晴らしい演奏だった。
今回はドビュッシーのユーモアのようなものを感じるところもあって、そういう新鮮さも印象深い。
ドビュッシーのピアノ曲では練習曲集がいちばん好きである。
この曲の先にメシアンやリゲティが見える。さらに細川俊夫にまで通じるのかもしれない。
そんな大好きな曲を大好きなピアニスト聴ける歓び。
この曲の初演は3人のピアニストが分担していたという。
そのくらい難しいということだろう。
凄いもの聴いた。
アンコールが無いのは当然だ。
サイン会ではいつもよりもテンションが高かったようだ。
やり切った感のある充実した笑顔を見せてくれた。
ちなみにこの前の日曜は鐵百合奈の演奏でショパンの練習曲Op.10を聴いた。
そして今日はショパンに触発されたであろうドビュッシーの練習曲。
偶然だがそういうつながりも楽しい。
そういえば、彼女のリサイタルを最初に聴いたのはフィリアだった。
実は来週もフィリア…。
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