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2025年12月12日12:44

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伏尾美紀『最悪の相棒』(講談社)

伏尾美紀『最悪の相棒』(講談社)を読みました。
著者は、ミステリ作家なのですが、2021年に第67回江戸川乱歩賞を受賞した『北緯43度のコールドケース』でデビューしています。博士号を持つ異色の警察官の沢村依理子を主人公とするデビュー作のシリーズには続編として『数学の女王』があり、私はどちらも読んでいます。加えて、最新刊の『百年の時効』が話題になって読んでみて、改めて、さかのぼって本書を読んでみた次第です。
博士号を持つ沢村依理子のシリーズ2作は札幌が舞台でしたが、本書と次作の『百年の時効』は東京の警視庁が舞台となっています。本書では、警察官を父に持つ警視庁刑事の広中承子が主人公です。相棒となるのは潮崎格となりますが、2人には深い因縁があります。すなわち、2人が知り合ったのは子どものころであり、潮崎の姉がストーカーに殺害されたときに、犯罪被害者支援室に勤務していた広中の父がケアしていました。しかし、弘中の父は潮崎に対する異常な心遣いから、燃え尽き症候群のように体調を崩し、病気になって死に至ります。少なくとも、広中の記憶ではそうなっていて、したがって、潮崎は父の死に責任ある恨みの対象ということです。潮崎の方は仕事仲間から「犯罪被害者家族心理分析官」とまで呼ばれていて、犯罪被害者に強く寄り添う姿勢を持っています。ですので、犯罪被害者家族心理分析班なる新組織が警視庁の捜査一課に新設され、そこで2人がコンビを組むことになります。
こういった過去の振返りは別として、ストーリー上では、現在の事件は都内の花園団地で起こります。私の知る限りでは、「限界団地」という表現もあったように記憶していますし、足立区の花畑がイメージされます。本庁の相棒2人に加えて、所轄署の交番勤務の警察官も事件解明に加わります。自宅で子ども2人をビニールプールで遊ばせていたところ、当時3歳の弟の方が溺死した事案で、5歳の兄の目撃証言を基にした再捜査など、いくつか事件が起こるのですが、最大のハイライトは団地に住む母子家庭の母娘殺害事件です。捜査当初は、DVで離婚した母娘の元夫・父親である競技自転車の選手が容疑者として浮かびますが、広中と潮田のコンビが、というよりも、潮田が交番勤務の警察官の協力も得つつ、事件の全容解明を行います。
相変わらず、デビュー作の『北緯43度のコールドケース』と同じで、いろんな物を詰込み過ぎの印象です。『百年の時効』では、その詰込み過ぎが好評だったのだろうと思いますが、この作品ではそれほど評価できるとは思えません。この作家には、『百年の時効』のように、時間的に超長期か、地理的にだだっ広い範囲を取り込むようなミステリが適している気がします。

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