作曲家細川俊夫の古稀を記念したコンサート。
「50年のうつろひ」と題され、室内楽の観点からその業績を振り返ろうというもの。
この人の作品はどこか日本の侘び寂びを感じさせるものが多く、現代的なイディオムでありながら、特にわれわれ日本人にはその世界観に共鳴するものがあるように思う。
<ゲーテ・インスティチュート館長 挨拶>
01.ウィンター・バード(1978) 無伴奏ヴァイオリンのための
毛利文香:ヴァイオリン
02.メローディア(1979) アコーディオン・ソロのための
大田智美:アコーディオン
03.線�機�1984/86) フルートのための
上野由恵:フルート
04.時の深みへ(1994/2025) サクソフォンとアコーディオンのための(サクソフォン版世界初演)
大石将紀:サクソフォン(ソプラノ、アルト、バリトン)
大田智美アコーディオン
<休憩>
<細川俊夫 挨拶>
05.エクスタシス(脱自)(2016/2020) ヴァイオリンのための
毛利文香:ヴァイオリン
06.スペル・ソング ‐呪文のうた‐(2014-2015) 大石将紀によるソプラノ・サクソフォン編
大石将紀:サクソフォン
07.祈雨(2018) 6人の打楽器奏者のための
国立音楽大学 打楽器アンサンブル
堀田明杏、川崎友仁、高山菜桜、田中健太、藤生愛菜、簗瀬喬介
キハラ良尚:指揮
凄いものを聴いたという印象だ。
前半は20代30代の若い頃の作品。後半は比較的最近の作品。
若い頃はとんがっていたんだなあという印象。
特殊奏法を駆使し、響きは明らかに前衛。でも不毛にはならないのが素敵だ。表現すべきものがあり、その手段として結果的に前衛になったということなのだろう。
1曲目の『ウィンター・バード』から心を持っていかれた。
ヴァイオリンの様々な音色を駆使している。相当な難曲だろう。第2部?(中間部?)ではヴァイオリンをギターのように胸元で構え、ピッツィカートで奏でる。
このヴァイオリニストは初めて聴いたが、カッコよく弾きこなしていた。
アコーディオン・ソロの『メローディア』も高音と低音のコントラストが刺激的だった。
これもかなりの難曲に違いない。
そして『線�機戮澄�
これこそ特殊奏法のオンパレード。声まで使う。おそらく難曲どころの騒ぎではない。
上野由恵はこの曲のスペシャリストと言っていい。作曲者のお墨付きだ。
演奏するごとに凄みを増している。
『時の深みへ』はサックス版の世界初演。
ソプラノ、アルト、バリトンへ順に持ち替えていく。
アコーディオンとの音色の融合が見事で、特にソプラノだとどちらが鳴っているのかわからないこともあった。
前半終了のこの時点でかなりの満足感だ。
『線�機抂奮阿禄蕕瓩督阿�曲ばかりなので、かなり集中して聴いていたのだろう。
後半もソロ・ヴァイオリンから。
曲の印象はずいぶん異なる。いい意味で角が取れたというか、コクが増しているというか、熟成したということなのだろう。
それでも刺激的で、やはり今の時代の音楽という印象は変わらない。
それはソプラノ・サックス用に改訂された曲でも変わらない。
決してわかりやすいとは言えないだろうが、何か耳を捉えて放さないものがある。
不毛の現代音楽とは一線を画するものだということだろう。
最後の打楽器アンサンブルによる『祈雨』は聴きものだった。
作曲者の考える「雨乞い」で、雨の様々な形態を打楽器で表現している。
弱音の繊細な表現から、驟雨を表しているのだろうダイナミックな迫力。場面転換が激しく、どこを見ていいのか忙しかった。
大満足のコンサートだった。
細川氏はやはり凄い作曲家だ。
今この時代に、こうした作品を聴ける喜びを感じた。
現代音楽にも素晴らしいものはたくさんある。少なくとも細川氏の作品は聴く人に何か爪痕を遺してくれる。
終演後は飲み物と軽い食べ物が振る舞われた。
ビールが美味かったな。
由恵ちゃんとも話をすることができた。
細川さんにサインをもらうこともできた。
ヴァイオリニストの毛利文香さん、この人の演奏はまた聴いてみたい。
このゲーテ・インスティテュート東京にはずいぶん前に来たことがあった。
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