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2024年02月04日15:58

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「シュレーディンガーの少女」

・シュレーディンガーの少女 作:松崎有理
大当たりの短編集だ。最近の作家には珍しく、空想科学と娯楽要素の配分がちょうどいい。どちらかが勝ちすぎている作が多いから。

「六十五歳デス」全ての人類が六十五歳で死ぬ世界で、死期の近い女性がスラムの子供を育てる。かっこいい。背筋の伸びた女性は読んでて気持ちいい。
「太っていたらだめですか?」駄目に決まってるだろ!と断言できない世の中だ。ボディポジティブという屁理屈で、デブに誇りを持つ人がいるそうだ。で、三十代でどんどん死んでるらしい。みんながモデル体型を目指すのもどうかと思うが、デブが問題だというのは事実だ。何年か前に200キロ越えてそうな女に、電車から降りようとするところを乗り込まれ、口から内臓が出そうになった。こいつらは猟友会と自衛隊に登録しておいて、市民に危害が及ぶ場合は射殺すべきだと思いました。
お話は肥満体五人が集められ、デスゲームを強いられる。ナガラグイに親近感をおぼえた。落ちが秀逸。肥満は知性の反対語だったのか。うむ、納得した。

「異世界数学」数学が嫌いな女子高生が、数学のない世界に行ってしまう。数学の本質は面白いのだ。こういう風に教われば、学生時代にもう少し出来たかも。
「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」秋刀魚が絶滅した世界で、味を復活させようと頑張る。夏休みの自由研究というのが素晴らしい。子供の頃夢中になったジュビナイルSFのような味わいだ。

「ペンローズの乙女」遭難した少年は、孤島で半裸の美少女と新鮮な魚による夢のような歓待を受ける。未来編との落差が激しい。繋がりがよくわからない。
表題作はゾンビ病の蔓延する世界で、罹患した少女が自殺を図る。残酷である意味夢がある。

初心者からひねくれ者まで、全ての読書家に勧めたい。さながらSF見本市である。★★★★★
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