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2024年01月24日18:40

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ちょっと気になる医療と介護 増補版 権丈 善一 勁草書房 2018年2月1日

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p.328
すなわち、
・他国が経験したことのない猛スピードの高齢化が日本を襲い、65歳以上人口比率は40年前の7%から23%に届く世界最高水準にまで急増している。さらにはキャッチアップを目標とした強力な産業政策が主流であった時代が終わり、規制緩和の流れが強まることにより行政需要は質的にも変化した。……行政需要が増えゆく府省の人員は余裕を失っていく一方、行政需要が減少している府省では人員が余りはじめ、仕事を求めて活発に動き始める。
・権丈(2015)「不磨の大典”総定員法”の弊」
『医療介護の一体改革と財政』100頁。

国のガバナンス問題
・構造的な国のガバナンス問題があることを念頭に置かないと、今何が起こっているのかを理解できず、これから何が起こるかの予測も誤るかと思います。
・権丈(2015)『医療介護の一体改革と財政』6頁。

 私は、「国のガバナンス問題」と呼んでいるのですけど、日本がキャッチアップをやろうとしていた時代に「この産業を育てなければいけない」と言っていた省が、キャッチアップを終えた日本で仕事をなくし、小人閑居して不善をなすとでも言いましょうか、今度は「成長戦略だ」、「法人税の減税だ」、「増税は成長戦略に反する」――そのような形で、2012年後半に完全にこの国は入れ代わっておりまして、このあたりのところは、本日の配布資料にもございますので、見ていただければと思います。
p.329
 そうした転換の中で演じられていた芝居のクライマックスが、昨日までの5月26日、27日の2日間に伊勢志摩で展開されていました。そして報道によれば、サミットで配布された「世界経済はリーマン・ショック直前の状況」を示したかったらしいA4で4枚の資料の作成に彼らが関わっていたようです。それにより、彼らは社会保障・税一体改革に対して、勝利を確実なものにしたかったのでしょう。
 私が「構造的な国のガバナンス問題があることを念頭に置かないと、今何が起こっているのかを理解できず、これから何が起こるのかの予測も誤るかと思います」と話をしているのは、今から1年9か月前の2014年8月19日の講演の時です。
 そして、私は、今から3年7か月前の2012年10月の『週刊東洋経済』に、「消費税の運命は、まだ予測がつかない状況にある」と書いています。
 なぜ、そうしたカッサンドラのような、誰も信じない不吉な予言を、2012年12月の総選挙の前、つまりまだ民主党政権下においてしていたのかというと、「国のガバナンス問題」というものが、いずれ、かなり深刻な事態を引き起こすことになると気づいていたからです。そしてカッサンドラと同じく、あってはならない未来を予測はできても、そうした未来を変えることはできませんでした。

 まぁ、どうしてこういうことが起こっているのかということについては、僕は、しばしば、小選挙区制と内閣人事局が決定的に大きいと話しています。つけ加えれば、ネットの普及かな。その心、分かります? そのあたりは、次の知識補給あたりをごらんください。
p.330
 昔の日本は、ひとつの選挙区から3,4人が選ばれる中選挙区制というものでした。これが1996年の衆議院総選挙から、ひとつの選挙区から1人だけが選ばれる小選挙区制に変わりました――細かいことを言えばいろいろあるけど、まぁ、いいでしょう。これは、政治家の世界の話です。
 そして官僚の世界の話をすれば、昔は、各省の事務次官を頂点とする一般職国家公務員の人事については、事務方の自立性と無党派性(非政治性)にも配慮して、政治家が介入することは控えられてきました。それが、2014年5月に内閣人事局が置かれ、幹部職員人事の一元管理が行われることになりました。通常、幹部職員とは、審議官、局長、次官をさしているようです。
 内閣人事局が作られようとするとき、飯島勲さんという小泉純一郎首相の政務秘書官を勤めた人が、『週刊文春』(2013年10月10日号)の飯島勲の激辛インテリジェンス「官僚人事 やり過ぎが心配だよ」で次のように書かれていました。内閣と行政の双方でチェック・アンド・バランスをとるという人類の知恵が、またひとつ壊された感があります――他にも、この本で人類の知恵という言葉を使っている箇所を探して下さい。

 いやー、心配のタネが出てきちゃってさ。国家公務員法等の改正案だよ。各府省の次官、局長級はおろか審議官級以上の600人の幹部官僚の人事を首相官邸で一元的に管理するという構想さ。その実務を担当する内閣人事局も新設するって言うんだよ。
p.331
ゴマすりが横行
 政治家が官僚人事に深く入り込みすぎると何が起こるか。官僚は自分の大臣と官邸のどちらに仕えるか曖昧になる。能力もないくせに時の官邸に色目を使い、政治的にうまく立ち回って出世しようとする奴が出てくる。ゴマすりが横行し出せば、終わりだよ。大事でも日の当たらない仕事は誰もやらなくなるぜ。……官邸主導で良かれと思って作った人事局が訳の分からない政権に悪用され、雇い主である国民から見てとんでもない霞が関瓦解を招きゃしないか。一つの内閣は一時の存在だけど、日本国政府は永久に続くっていう自覚を政治家は持たなきゃダメさ。……」

 こういう、人の選び方、それつまりは人の育て方、育ち方を変えるというような話は、ボディーブローのように効いてくるものです。そしてこれからかなり時間が経った日本で、もしあなたが暮らしているとすると、この知識補給に書いていることを思いだして、なるほど、そういうことだったのかと実感するようになるはずです。
 政治、政策のまわりで、「いま、何が起こっているのか? そして、これから何が起こるのか?」を考える際には、小選挙区制、内閣人事局という制度的枠組みの下で進む、チェック・アンド・バランスから権力の集中へという静かなる大きな流れに考えをおよぼしておくと、今まで見えていなかったいろいろなことが見えるようになりますよ、たぶんね。それとネットの普及による社会のフラット化が、いわゆる民主主義にもたらす影響についても、意識しておきましょうかね。つまり、小選挙区制、内閣人事局、そしてネットの普及による社会のフラット化――この3つが、日本の民主主義を考える際のキーワード!
p.332
 いま、追加的に1単位(たとえば1万円)という所得を受け取った時、そのうちのどれだけが貯蓄にまわされるかという割合を「限界貯蓄性向」と呼び、一方、追加的な1単位の所得に対して消費にまわされる割合を「限界消費性向」と呼びます。そして一般には、高所得層になるほど限界貯蓄性向が高まり、所得階層が下がるにつれて限界消費性向が高まるという傾向があります。
 したがって、ある社会が生み出す富(所得)の分配が高所得層に向かうほど社会全体での貯蓄(総貯蓄)が増えやすくなり、その貯蓄が投資へ、そして生産へと向かい、生産されたものにはすべからく需要があり、結果、経済が成長する――と考えるのが、本論では後に出てくる図表85(235頁)における右側の経済学の世界でして、それは「供給はそれ自らの需要を作る」というセイの法則が成立して成り立つ論となりますよね。
 ここで、もし、「供給されても必ずしも需要が作られない」となると、セイの法則が成立することを前提とした議論は、ひっくり返ってしまいます。その世界が、図表85中の左側の経済学の世界です。
p.333
 僕は、あるときに次のような講演をしています⁷⁴。

 もう1つ本日配布したかったのが、『週刊エコノミスト』に書いた「ノーベル経済学賞とは?」というものですけど、さすがに今週の発売でして、今も店頭に並んでいるということで、理事の方々には来月の日本病院会の理事会で配らせていただきたいと思います。
 ただ、『週刊エコノミスト』が、この記事を今週出したかった理由、わかりますか? 来週ではダメなんですね。伊勢志摩サミットが週末に開かれる、今週の月曜日でなければならなかったようです。そうしたことを考えていた編集者たちの、「その心は」についてはご推察ください。

 「ノーベルの遺志になく、「スウェーデン国立銀行賞」として追加された賞――そしてノーベル平和賞が生まれたステキな話」
『週刊エコノミスト』2016年5月31日号より

 アルフレッド・ノーベルは、亡くなる前年の1895年に書いた遺言で、資産を投じて設立した基金の利子を「人類の福祉のために最大の貢献をした人たちに賞として授ける」と述べた。ノーベルが遺言で記したのは、物理学賞、化学賞、医学生理学賞、文学賞、平和賞。この5部門で、1901年に初めてノーベル賞の授与式が行われた。では、経済学賞は?
 経済学者が、これら5部門の受賞者たちと一緒に授賞式に参列するのは、随分と後のことになる。
p.334
「ノーベル経済学賞」と呼ばれている賞が創設されたのは68年。スウェーデン国立銀行が同年、300周年を迎えた祝賀の一環としてノーベル財団に働きかけて創設され、翌69年から、「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」(The Sveriges Riksbank Prize)という名称で授与されるようになった。賞金は、他の5部門のようにノーベル財団ではなく、スウェーデン国立銀行が出している⁷⁵。

シカゴ学派が席巻
 この賞は、スウェーデンの経済界にとって大きな意味があった。彼らは、税や社会保険料の負担が少ない「小さな政府」を好み、経済界に負担を強いる福祉国家は望ましくない。だが、スウェーデンの労働組合は強く、国民はなかなか福祉国家を嫌いになってくれない。
 そこで経済界は、ノーベル経済学賞を存分に利用することにした。デヴィッド・ハーヴェイが著した『新自由主義』には、「最も効果があったのは、(スウェーデンの)使用者によって遂行されたプロパガンダ運動だった。
p.335
彼らは、ノーベル経済学賞に対して自分たちが持つ影響力を利用し、スウェーデン人をはじめとした(人々の)経済的思考のうちに新自由主義的な見方を確立しようとした」とある。
 そして市場原理を尊重し、政府の介入を減らそうとする「新自由主義」「シカゴ学派」が、70年以降、ノーベル経済学賞を立て続けに受賞していく。受賞は、これらの思想を権威づけることに大いに役立った。
 新自由主義の総帥のミルトン・フリードマンは、ノーベル経済学賞の受賞者には、「男性」「米国国籍を持つ」「何らかの形でシカゴ大学と関係している」という傾向があると指摘している。
p.336
 この賞の受賞者であるハイエク、フリードマンたちは、両大戦間期に進んだケインズ主義的な政府の拡大に政治的危機を感じた。そこで1947年にスイスの保養地モンペルランに集い「自由主義、自由経済、自由社会を信奉する経済学者を核とする会」の「モンペルランソサイエティー」を設立した。この会から、後に、10人に近いノーベル経済学者が出てくることになる――ハイエク(1974年受賞)、フリードマン(76年)、スティグラー(82年)、ブキャナン(86年)、ベッカー(92年)、バーノン・スミス(2002年)などだ。
 この中から、82年に受賞したスティグラーを紹介しておこう。彼は、71年に「経済規制の理論」という論文を発表した。これは、「規制は公共膳を増進するために行われる」という従来の考え方を、「利益集団が自己利益のために政府の権力を利用して作ったのが規制である」と切り替えたものだ。この考え方は、スティグラーが論文を発表して十数年後の日本でも、「規制緩和」と言えば、国民を守る正義の味方と見なされるような雰囲気が生まれることになった。
 こうした経緯があり、ノーベル賞が100周年を迎えた2001年、アルフレッド・ノーベルの兄弟のひ孫たち4人が、「経済学賞はノーベルの遺書にも盛り込まれておらず、受賞者の多くは西側世界の価値観を体現する人々であり、人類に多大な貢献をした人物を顕彰するとした故人の遺志と賞本来の価値にそぐわない」と批判。ノーベル経済学賞をやめてほしいと訴えてもいる。

「バランス感覚」に長けるスウェーデン国立銀行賞
 もっとも、スウェーデン国立銀行賞は、バランス感覚に長けている面もある。
p.337
74年には、自由市場を信奉するハイエクと、政府主導の福祉国家論を唱えるグンナー・ミュルダールという、決して相容れない思想の両者が同年に受賞した。2013年には、シカゴ大学のユージン・ファーマとエール大学のロバート・シラーが受賞しており、ファーマは「株式市場は効率的なので、予測を完全に反映した価格を形成する」という「効率的市場仮説」を唱え、シラーは「効率的市場仮説」は打倒ではないと指摘している。一方が成り立てば、他方が成り立たない理論を唱える両者が同じ年に受賞している。
 また、ヘッジファンドの経営者であるロバート・マートンとマイロン・ショールズが97年に金融工学の分野で受賞した翌年に、彼らのファンドが破綻すると、「金儲けの道具」の開発とは対岸にいる貧困研究者のアマルティア・センが受賞。さらにネットバブルが破綻した2000年の翌年にスティグリッツ、2008年9月にリーマン・ショックが起こった翌月にクルーグマンの受賞が決まった。金融支配と格差社会への批判者として名高い2人の受賞は、結果的にこの賞の「バランスの良さ」を示すことになっている。そしてノーベル経済学賞への批判が強まった90年代の半ばには、選考対象を、政治学や心理学など経済学の周辺領域まで広げる方向に変わってきた。
 そうした配慮のおかげで、今では、考え方が右の人も左のひともみんな含め、自分の考えに近い受賞者をピックアップして、「ノーベル経済学者もそう言っている」ともっともらしい顔をして言うことができるし、私も、しばしばそう言っている。普通の人たちは、この賞はノーベルが遺言した賞ではないとは知らないため、結構、感心してくれるものである――もっともなるべく「ノーベル経済学賞(正式にはスウェーデン国立銀行賞)」と標記しているが。
p.338
 最後に経済学と同じように、評価基準が曖昧にならざるを得ない平和賞について触れておこう。
 不惑を過ぎたノーベルはパリでベルタ・キンスキーという女性と知り合う。ベルタは美人で、聡明で、すぐにノーベルの心をとらえる。ノーベルが彼女に「意中の人はいますか」と尋ねると、ベルタが「はい」と答えて、この話は終わる。その後彼女は意中の青年ズットナー氏と結婚して、熱心な国際平和運動の提唱者となる。
 ノーベルの死後9年ほど経った1905年、第5回ノーベル平和賞は、ベルタ・フォン・ズットナー女史が受賞――ノーベルが平和賞を設けた理由を、私は、それはそれで素敵な話ではないかと思っている。だが、経済学賞に対するノーベル家の子孫のクレームはもっともであり、この賞はなかった方が「人類の福祉のために」と遺言を残したアルフレッド・ノーベルの名声を、後世長く保てたのではないかという気がしないでもない。
p.339
 2017年は9月頃まで、小泉進次郎さんたちが唱えた「こども保険」がにぎやかに議論された年でした。このこども保険を彼らが議論していたのが、自民党の「人生100年時代の制度設計特命委員会」というところでした。そこに呼ばれた僕は、子育て支援連帯基金という話をするのですけど、その話は、「知識補給 子育て支援連帯基金構想」に譲ります。ここでは、人生100年特命委で話をした「国際的に見た日本の社会保障と医療」の部分を紹介してきます。

社会保障制度の財源確保(税・保険)の在り方
――子育て支援策を中心として
於 人生100年時代の制度設計特命委員会
2017年5月16日 16時‐17時
……
 最後に、社会保障給付費における高齢給付の見方について説明しておきます。『社会保障統計年報』には、2000年からスライド31の下にあるような「政策分野別社会支出の構成割合」の国際比較が掲載されはじめました。
 その頃から、日本の社会保障の給付は高齢給付に偏りすぎているという批判が高まりました。でも、同じスライド31の上の図に見るように、2000年時点での高齢給付の対GDPは、他国と比べて高いと批判されるような水準ではありませんでした。
 さらには、次のスライド32をみれば、確かに日本の社会支出の対GDP比は上昇してきています。
p.340
 しかし、それを65歳以上人口比率で割ると、日本はずっと他国に比べて低い水準のままです。スライド33には、OECD加盟国の保健医療支出の対GDP比と65歳以上人口比率をプロットしています。
 日本の保健医療支出はOECDの統計方法の変更で急上昇したのですが、OECD旧基準とは異なり新基準では、長期医療(保健)サービスに日本の介護保険の多くが追加されています。日本の統計をまとめた医療経済研究機構によると、他国が同時に介護サービスを加えたかどうかは不明らしい(笑)。そして、もうひとつ注意すべきことは、国内の医療費の地域差を検討する際には、各地域の高齢化水準をコントロールするのは当然なのですけど、国際的にもその方法をとると、日本の医療費水準は、高齢化の割にはそんなに高くないとも言えます。

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女性の死亡率1位の「大腸がん」それでも検査をためらう理由は…40代になったら要注意、症状や原因を医師に聞いた
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 年齢を重ねるにつれ、リスクが高まる「大腸がん」。数あるがんの中でも、国内で患者は増加傾向にあるそうです。特に40代以上の人は、性別に限らず、生活習慣に気をつける必要があると言います。初期は無症状で気づきにくい大腸がん、発見が遅れた場合には命に関わる事態にも…。八王子クリニック新町の院長、井藤尚武先生に今知っておきたい大腸がんについて聞きました。

■死亡率1位なのに検診を受ける女性が少ない理由は

 女性ががんで亡くなる順位の1位が「大腸がん」と聞きます(※)。女性特有のがん検診に目がいきがちで、男性よりも女性が大腸がん検診を受ける割合は低いという話も。その原因に「検査をする医師に男性が多いため羞恥心で検査を敬遠する女性が多い可能性は十分に考えられるでしょう」と井藤先生は言います。

 「そのため症状がしっかりと出てから受診し、進行性大腸がんになって見つかることも少なくありません。大腸がんが女性の死亡率1位のがんであることも、女性に定期的な大腸検査が十分に行われていないことを反映しているのかもしれません」(井藤先生/以下同)

 男女ともに言えることですが、大腸がんが増えている背景は「日本人の食生活の欧米化」があります。肉食、特に赤み肉や加工肉は大腸がんの原因の一つです。

「近代社会ではデスクワークが増え、運動不足に陥りやすく、肥満やメタボリックシンドロームが増加していることは誰もが耳にしたことがあるでしょう。これも大腸がんの原因に。他にも過度な飲酒や喫煙習慣がある方もなりやすいと言えるでしょう。遺伝性の大腸がんもありますので家族が大腸がんの方も注意が必要です」

※人口動態統計がん死亡データ(がん死亡数の順位(2021年)より)

■大腸がん検査の種類は? どんな病変が確認できるの?

 大腸がんの検査方法は主に3つ。以下の通りです。

(1)便潜血検査

 便の一部を採取して便の中に混ざった血液を検出する検査です。大腸がんからの出血を間接的に見ています。しかし、あくまで見ているのは出血ですので痔などの別の病気で陽性になることもあります。大腸がん検診の一次検診で用いられます。

(2)大腸内視鏡検査

 肛門から内視鏡を挿入し大腸の一番奥まで入れ、ゆっくりと抜きながら大腸内を観察していきます。検査時間は15〜20分程。検査前日から消化の良い検査食に切り替え、当日は2リットルほどの下剤をゆっくり内服して腸内を洗浄します。

 直接的に腸内を観察するため1〜2mmの病変から確認ができ、必要があればその場で切除することや組織をとって病理検査を行うことが可能です。大腸がん検診の二次検診で用いられます。

(3)大腸3DCT検査

 肛門に太さ6mm程度の柔らかいチューブを5cmほど挿入し、炭酸ガスを注入し大腸を拡張させてCT撮影します。撮影はテストも含めて3回ほどで、実際の検査時間は15分程。内視鏡検査のように大量の下剤内服は必要なく、前日の食事の際に造影剤のシロップを内服するだけです。

 発見できる病変のサイズは5〜6mm以上のもので、病変があったらその後に大腸内視鏡検査が推奨されます。

■無症状で気づきにくい…初期症状は?

 早期の大腸がんには自覚症状がほとんどないそうです。大腸がんと診断された人の約半数は、健康診断や人間ドックで指摘されるまで自覚症状がなかったという調査結果もあるそう。進行するにつれて症状がでてくる大腸がん。初期症状を見逃さないためには。

「肛門に近い大腸であれば比較的早く血便や便が細くなるという症状が出ますが、遠い右側の大腸は症状が出にくく症状が出た時はかなり大きくなった状態である場合も少なくありません。そのため大腸がんの早期発見には定期的な検査が大切になります」

 女性ならではの症状はあるのでしょうか?

「女性においては慢性的な便秘が多いことが知られています。肛門からの出血など便秘と大腸がんの初期症状が似ているため早期の兆候を見逃しやすいことは覚えておく必要があります」

■予防方法や生活習慣で心がけることは?

 予防方法は「定期的な検査」と「生活習慣の改善」と井藤先生。前述したように、早期の大腸がんはほどんどが無症状のため、早期発見のためには検査を受けることが大切だと言います。自治体検診などで広く利用されている便潜血検査は体の負担も少なく、大腸がんの可能性を示してくれます。

 ですが、違う病気で陽性になることや、早期の大腸がんでは出血がなく反応しないことも。そのため、大腸内視鏡検査や大腸3DCT検査を受けることも必要になってきます。

 生活習慣改善においては、運動不足の方は適度な運動を生活に取り入れたり、赤み肉や加工肉が好きな人は野菜、魚を中心に摂取する日を作ってみたりと、生活の一部を工夫してみることが予防に効果的。過度な飲酒を避け、禁煙することは大腸がんだけでなく他疾患の予防にも有効です。

「40歳を過ぎたら定期的ながん検査や人間ドックを受診するとともに、バランスのとれた食生活・運動を心がけて過ごしましょう」

○記事監修/井藤尚武先生
医療法人社団斗南堂八王子クリニック新町院長。日本外科学会専門医。2013年、愛知医科大学医学部卒業。東京女子医科大学東医療センター、中通総合病院、流山中央病院、Weill Cornell Medicine(米国留学)を経て2021年から八王子クリニック新町の院長となる。消化器の外来診療、肛門病の日帰り手術、消化器内視鏡をはじめ、健診や人間ドックなどの予防医学、在宅医療に従事している。また、AIを得意としComputer visonによる転倒検知システム、院内の予約システム、人間ドックのコメント作成システムなどを現場の視点で自らが作成している。専門分野は一般外科、消化器全般、肛門病、AI関連業務。


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