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2024年01月17日00:06
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ちょっと気になる医療と介護 増補版 権丈 善一 勁草書房 2018年2月1日
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■阪神大震災きっかけに対策強化＝「２次避難所の防災重要」―老人施設の溝田さん・神戸
(時事通信社 - 01月16日 14:01)
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p.102
似たような仕組みは、後期高齢者医療制度における、現役世代からの支援金にも適用されています。ここで似たようなというのは、介護保険制度ほどには人口構成の変化への対応が徹底しておらず、介護保険の半分くらいしか後期高齢者医療制度は根性がないからです。
先の図表33にみるように、後期高齢者医療制度の費用負担は、(高齢者からの保険料＋医療保険からの支援金)：公費(市町村：都道府県：国)＝50%：50%(8.3%：8.3%：33.3%)となっています。このうち支援金を負担する医療保険のなかに0〜74歳までの若人――高齢者医療制度を論じる場合には75歳以上の人たちに対して、0〜74際の人たちを若人と呼んでいます――が加入しています。そして、保険料が負担する50％のうち、後期高齢者医療制度に所属する75歳以上の人たちが負担する割合を高齢者負担率と呼んでいまして、この制度が発足した時には、高齢者負担率は1割でした。
この部分――「後期高齢者負担率」――は、2年に一度改定されることになっており、その改定理由と改定方法は、次のように説明されています。
p.103
厚労省ホームページより
＊今後、後期高齢者人口は増加すると見込まれる一方、若人人口は減少するため、後期高齢者の負担分は支え手が増えるが、若人の負担分は支え手が減っていく。したがって、仮に後期高齢者の保険料の負担率と後期高齢者支援金の負担率を変えないこととすると、後期高齢者1人当たりの負担の増加割合と比較して、若人1人当たりの負担はより大きな割合で増加していくこととなる。
＊このため、「若人人口の減少」による若人1人当たりの負担の増加については、後期高齢者と若人とで半分ずつ負担するよう、後期高齢者の保険料の負担割合について、若人減少率の1/2の割合で引き上げ、後期高齢者支援金の負担率は引き下げることとしている。
式で書くと、次のようになります――式が嫌いな人は読み飛ばして良いです。
後期高齢者の負担割合(平成22年度以降)＝
後期高齢者の負担割合(平成20・21年度10％)＋若人負担割合(平成20年度約40％)×若人減少率×1/2
若人減少率＝前回の改定年度からの若人人口減少率
ただしですね――原則はこうです。でも現実は違うんだということが、社会保障のまわりでは多々起こることも知っておきましょうか。
p.104
2008年に後期高齢者医療制度――後期高齢期医療制度？――が導入されたときに、世間では大変大きな政治問題として扱われました。制度設計上当然のことですけど、それまで、子どもの扶養家族であったために医療保険料を払わずにすんでいた人も後期高齢者医療制度の創設で保険料を払うことになったり、それまでの国民健康保険での保険料よりも後期高齢者医療制度の保険料が上がったりした人もいましたから、メディアも、野党も、ここぞとばかりにとりあげて、後期高齢者医療制度は天下の悪法呼ばわりされて、大変な騒ぎになりました。その頃は、2009年8月30日の総選挙で野党民主党が大勝利を収めるちょうど1年前でしたので、次の選挙に戦々恐々の当時の自公政権は、後期高齢者医療制度に対して大々的な保険料軽減措置を講じました。たとえば、オリジナルな後期高齢者医療制度では年金収入が基礎年金しかない人には保険料の7割を軽減するという措置があったのを、最大9割まで軽減するとして、保険料の最低額を月額350円程度にすることで政治決着したりしました。その結果、後期高齢者医療制度の高齢者負担率は、当初の10%よりも下がって7%程度となっており、そうした保険料軽減に要する財源は、毎年度の国の予算措置や地方財政措置として賄っています³¹。
知識補給・政治が変えた後期高齢者医療制度のかたち
295頁へ
後期高齢者医療制度が施行されて1年と5か月ほど経った2009年8月30日には、マニフェストに後期高齢者医療制度を廃止すると掲げた民主党が総選挙で勝ちました。でも、政権に就いた彼らは何もできませんでした。
p.105
制度施行時は、大騒ぎされていた制度も、1年以上経つと、みんな慣れてきたようでありまして――2013年8月にまとめられた『社会保障制度改革国民会議』の報告書には、次のような文章があります。
後期高齢者医療制度については、創設から既に5年が経過し、現在では十分定着していると考えられる。今後は、現行制度を基本としながら、実施状況等を踏まえ、後期高齢者支援金に対する全面総報酬割の導入を始め、必要な改善を行っていくことが適当である(『国民会議報告書』35頁)。
その通りだろうと思います。だいたいですね――後期高齢者医療制度が導入された2008年のはじめに、この制度が大いに叩かれて大変な騒ぎになった時、「高齢者医療制度に関する検討会」(高齢期医療制度に関する検討会？)というのが立ち上げられ、そこに僕も参加することになりました。2008年9月末に第1回目が開催されたのですけど、翌年の2月末に行われた第5回あたりでは、世論調査では高齢者当人たちがこの制度はそんなに悪くはないという評価に変わっていました。「新税は悪税」という諺がありますけど、新制度が導入された時の社会の動揺に調子を合わせて、その制度を全否定する人たちの多くは、だいたい後になって大きな恥をかくようです。この本を読んだ人たちは、そうした恥をかかないように、みんあが大いに盛り上がっている時に、一瞬立ち止まって自分で考えてみる習慣を身につけてもらえればと思います。
p.107
そうは言っても、時間の経過とともに産業構造は随分と変化するのは当然でして、第1章の図表2(8ページ)でも見たように、1960年代には全就業者の30％台を占めていた第1次産業は縮小し、第2次、第3次産業で働く被用者とその家族の規模は増大していきました。
p.109
次には、各医療保険者が自分のところの被保険者数に応じて、負担を引き受けることになります。
p.113
公共政策としての医療保障制度を作ろうとする時に、国はこの制度を利用したんですね(1927年に健康保険法が成立した時に、健康保険組合を持っていない中小企業の労働者を対象として国が保険者となった政府管掌健康保険が作られたことは、極めて日本的特徴ではあります)。…このように、既存の企業単位の健康保険組合を活用した医療保障制度整備の方法を、今、組合主義と呼ぶことにしましょう。
p.115
そして、そうして生まれた制度というのは、歴史的過程の中で、ひとつの政治のあり方を形作っていきます。
p.116
この報告書文面が生れてくる経緯に関心のある方は権丈(2015 �佐�)418-425頁に書いている「国民健康保険の都道府県化と被用者保険のあり方」をご笑覧くださいませ。
p.120
前章で加入者割から総報酬割への改革の話をしました。…
…
第7章で話をした総報酬割の話をしました。この方法による財政調整というのは、所得リスクに対する調整の意味を持っています。つまり1本の保険料率を、1人当たり平均所得が高い保険者にも、それが低い保険者にも適用するわけですから、所得の低さからくる保険者のRiskは、保険者の間で均等化(equalize)されているわけです。
p.122
そして、協会けんぽは2009年より、加入者の年齢・所得構成を調整した上で都道府県ごとに決めるように10年をかけて徐々に改めています。…それが、図表13「今進められている医療改革」(40頁)における2015年6月の医療保険制度関係改革法のひとつの大きな成果でした。
p.123
都道府県が、市町村ごとの納付金を決定する際、「年齢構成の差異を調整した医療費水準」を元に算定することになっていますし、都道府県の裁量に基づいて、納付金の算定に際して都道府県内では市町村ごとの医療費水準を反映しないことも認められています。
p.125
でも社会保障というのは、生きるのに厳しく冷たい市場経済の中で、ほっとする存在としての助け合いの制度でして、この制度に、高所得の組合健保は積極的に協力した方が、広く世論の支持を得て、永く存続していくことができるようにも思えるんですけどね。
p.128
2008年より前の医療費の将来試算は、年齢階級別医療費をベースにして、人口構成の将来の変化を反映させるという方法で行っていましたが、第4章で説明したように、2008年の国民会議の時に、あるべき医療、あるべき介護という姿を先に描き、つまり、「あるべき医療はこうだ」、「あるべき介護はこうだ」という姿を先決して、そこに単価を掛けることによって総医療費、総介護費用がいくらになるという方法に切り替えたわけです。
p.129
医師需給分科会でやっている今回の試算では、次の図表44にみるように、たとえば今の労働時間はあまりにも長く、これを減らしたらどうだろうかという、3種類の労働時間の調整ケースを想定して、最も労働時間を減らしていくケースでは医師数の需要は相当大きくなり――というような試算結果が得られているわけです。
p.132
今までは――これは医師需給分科会に参加されている神野正博先生のお言葉ですけれども――バケツに水を入れていき、バケツから溢れたところが地方にまわっていくというような状況でしたので、バケツから溢れ出る水を待つ地方は、バケツの水とは豊富さが違う。
p.135
そういう環境変化が起こった中で、1973年の一県一医大構想の大学入学のところをずっと自由化していると、地方のほうが10月ぐらいまで運動会をやっていますので、都心の進学校に入試の段階で負けていきます。
p.136
医学部卒業後の定着率を高めるためには、医学部のある地元の高校の校区とか2次医療圏ごとに地域枠を設けることです。
p.138
たとえば医師不足が強く言われていた頃に僕が何をやっていたかというと、まず、「医療事故」というキーワードで新聞を検索します。
p.142
2016年医学部入学定員は9,262人。同年の推定出生数976,979人。2016年の出生千人あたり医学部入学定員は9.48人。
p.150
そのことは、第4章(68頁)で説明していた話です。
p.151
図表52と次頁の図表54にある5種類の給付内容にしても、施設サービスと居宅サービスは、まぁ、この名前はサービスの内容なんだろうなと、なんとなく想像ができると思います。
p.152
地域密着型サービスは、2005年の介護保険改正時に導入された制度です。
p.153
厚生労働省の説明によると、「小規模多機能型居宅介護は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組み合わせ、家庭的な環境と地域住民との交流の下で日常生活上の支援や機能訓練を行います」とあります。
p.154
介護保険では、こうした、実践が先行して、後に、制度化がついてくるというケースがあります。
…
こうした要件をみたしている小規模多機能居宅介護を提供する際には、図表55の介護報酬単位数をベースにした金額を受け取ることになります。
p.155
その結果、何が起こるのか？ を考えることは少しばかり面白いわけでして、医療の診療報酬に地域差が設けられていないことは、第10章で論じた医師の地域偏在問題を緩和しているのではないかという説もありまして、僕もそう思います――その理由、分かりますか？
p.157
� 崛換餔賣Г陵祝謬詆奸碧�問介護・通所介護）を地域支援事業に移行」というのは、『社会保障制度改革国民会議報告書』の次の文章に対応したものです。
…
介護保険給付の要支援を、地域支援事業に変えることについては、『国民会議報告書』に対する批判として、けっこう、メディアで取り上げられていました。
p.159
筋力を鍛える教室をのぞくと、トレーニング機器を使う人も、指導する人も高齢者であることに驚く。
p.148
指導しているのはこの教室の卒業生だ。
p.162
少し説明しますと、先に、「補足給付＝低所得者に対する負担軽減の仕組み」と書きましたけど、図表58に書いてるように、低所得者ということが、必ずしも負担能力の低さを表しているのではありません。
p.166
以上、2014年の介護保険改革の意味を概観しました。
p.167
ここは皆さんには是非、日頃の頭の体操として、もし財源があればどこを増やすか、それはなぜ？ そして財源がなければどこを減らすか、それはなぜ？ というように、増やすと減らすの両方を考える思考の訓練を始めてもらえればと思います。
p.169
『ちょっと気になる社会保障』には、次の図表60があり、こう説明していました。
p.170
社会福祉は、現金給付である生活保護では対応できない生活問題に対応するための現物給付――今では、社会サービスと言った方が理解しやすいでしょうか――を行なうために、生活保護制度から独立してきたものです。
p.177
そうは言っても、もし利用者が予算を立てた段階での見込みを超えて市町村の負担が急増した場合、障害者の人たちにも、そして事務を担当してくれる市町村の人たちにも、障害者福祉を担当する厚生労働省という国側の担当機関は、それは市町村の問題でしょうと言っておくわけにはいきません。厚労省は、支援費制度によって障害者福祉も、措置制度から事業者と利用者が対等な契約制度に変わる、また、在宅サービスを自由に利用できるようになるのだから施設を出て地域(在宅)で暮らすことができると繰り返し宣伝していたわけですから、市町村が混乱する様子を傍観しておくことは道義的にできるはずがありません。
p.178
実際には、厚労省全省的に、厚労省内部の政策判断で柔軟に縮減できる裁量的経費を、制度を所管する障害保健福祉部に供出したり(要するに、障害者福祉担当が他の部署に財源を求めて頭を下げてまわったり)、翌年の制度改正――つまりは、しっかりと歳出をコントロールする仕組みを導入するという条件――を財務省に担保に出し、極めて異例なこととして裁量的経費に補正予算を打ったりして自治体に追加補助をしていました。…
…
それでも、(市町村と都道府県で財源が枯渇した結果として)支援費制度で求められる国の補助率が100%にはならないことに加え、省内で資金をやりくりするために使節の整備補助金を減らしたり、支援費制度の施行前に当初予算でも一定程度の努力をしておこうとして、当時、障害者を施設から地域に移行することを推進していた人たちの拠点的な事業であった地域療育等支援事業(サービスコーディネート事業)を廃止していたりしたことから、入所施設を是とするグループと地域移行を是とする相対立するグループ(ほぼすべての障害団体)を厚労省は敵にまわし、厚労省のビルが障害者の「人間の鎖」で囲まれるという事態に陥ってしまいました。
p.179
200年施行の介護保険は、直接契約への切り替えによって在宅サービスが大幅に伸びることが予想されたために、�々馼蘆瓦竜遡嚇�経費化、��定率利用者負担の導入、�Ｍ弉雜酣�定や区分支給限度額、ケアプランの作成と見直しといった給付適正化の仕組みの導入、などの制度的対応を行っていました。
p.181
民主党政権というのは、彼らが最大限に政争の具として利用した年金については何もできなかったのですが、当時の長妻厚労大臣が2010年1月7日に、障害者自立支援法の違憲訴訟の原告・弁護団と和解したことについては大きな禍根を残したと言えます。…なお、民主党政権下の2012年6月に、障害者自立支援法から「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法)に名称を変更する法律が成立し、2013年4月から施行されていますが、自立支援法の骨格は変わっていません。
…「おそらく、財審(財政制度等審議会の略)が始まってから、初めて障碍福祉がテーマになったのではないか」というのは、財務省の財政制度等審議会における竹中ナミ委員の2014年10月27日の発言です。
p.185
この文章に、少しでも、ふ〜んっと思われる方がいらっしゃいましたら、権丈(2017)227頁の知識補給で紹介している、読売新聞論説委員林真奈美記者のコラム「あってよかった介護保険」や、本書の知識補給「医療保険と保険者の政治」(298頁)などもご覧ください。
p.187
第7章の図表33「社会保障財源の全体像」(101頁)を、ここでもう一度みてもらえますか。…今度は、第15章の図表75「平成28年度一般会計歳出と歳入」(208頁)をみてもらえれば分かるように、国庫(＝一般会計歳入)の35.6%は公債金という国の借金で賄われているのですけど、国庫というのはやっぱり税で賄うことを果てしなく考えなくてはならないものです。そこでここでは、国庫負担の財源をどういう税項目から得るのが良いのかを考えてみたいと思います。
p.190
そして、社会的アンバランスの解決として、彼は、企業の宣伝や広報活動を通じて「私的財貨に対する欲望がでっちあげられるにつれて⁴³」、公的部門の充実を図るための税収が増える付加価値税を唱えることになります。
p.192
収入はすべてが課税対象となるわけではありません。
p.194
ここをクリアーできた人は、次の図表67「所得税の税率区分ごとの税収」をみてください⁴⁶。
p.199
さてさらに図表72をみれば分かるように、日本の所得税は、他の主要国と比べて、給与収入1,000万円以下の人たちへの税率が低く、所得税の課税が開始される給与収入も高いようです。
p.201
ところが、この消費税から得られた税収で社会保障の財源を賄い、国民ひとりひとりの所得水準とは無関係に1人当たりGの額だけ社会保障の諸サービスが給付される場合には、消費税の評価は変わってきます。…
…
次の図表73には、tB＜Gであるために、ネットの支払額T^が所得Yと共に増加していく場合を図示しています。
p.205
世間では、介護の問題や医療問題、障害者福祉の問題、その他社会保障に関連する問題は山ほどあり、毎週いたるところでシンポジウムなどのイベントが行われています。そこに、僕が呼ばれると、大方、一番初めに講演をさせられます。介護でも医療でも、障碍者福祉や年金でも、なぜ、最初なのか？それは、なにも態度が大きいからではありません……。
世の中には、全部の問題に関わっているものがあります。みんな「介護政策はこうあってほしい。医療制度はこうあってほしい」といった夢を持っています。けれども、夢と現実との間には絶えずギャップがあります。シンポジウムなどでは、そのギャップをみんなで議論するわけですが、突き詰めて考えると、各政策に対する投入財源の不足が、夢と現実の間のギャップを生みだす原因だという結論にたどりつきます。人が足りないのも、施設が足りないのも、なんのことはない、財源の問題。
ところで、「無い袖は振れない」という言葉の英文をネットで調べると、you can't give what you don't haveが出てきますね。
p.206
あなたが持っていないものは与えることができないと訳せばいいでしょうか。これって、けっこう、社会保障政策の本質を突く言葉なんです。でも、日本は、長い間借金をしながら、無いはずの袖を振ってきました。そうした借金は、積もり積もって、次の図表74のようになってしまいました。
こうした状況の中、去る2016年4月に、財政制度等審議会(財務大臣の諮問機関)の女性向け公聴会に出席した麻生財務大臣は、「借金は悪いことではない。合う資産があればいい」と発言していたそうです。
p.207
新聞では、「政府の借金は計1,200兆円に達する半面、日本には借金総額を上回る家計の金融資産(約1,300兆円)があるため、借金を吸収する余力があることを念頭に置いたものとみられる」との説明がなされていました⁴⁹。また、その場に居合わせた財政制度等審議会の女性委員は「公聴会参加後の記者会見で”債務(借金)が増えて国債の格付けが下がってはいけない。とんでもないことを言い始めたと思った”と麻生氏を評した」とWeb記事に載ってました。たしかに、国債の格付けが下がってしまうとなかなかきついことが起こります。でもそこまで行かなくても、既にいまの財政状況であっても、社会保障にはかなりきついことをみておきましょう。
日本の国の借金は、その多くが日本人の資産で購入されています。大金持ちの人たちは、自分の資産が国債になっていることは、身をもって実感されているのかもしれません。でも、みなさんは、どうでしょうか？
実のところ、みなさんも結構、国債をもっていることにはなっています。もしみなさんが、銀行にお金を預けたり、保険に入っていたりすると、銀行や保険会社は日本の国債を買っているわけですから、みなさんが国債の所有者ということになるわけです。もう少し言えば、皆さんは、皆年金の公的年金に加入しているはずです。この公的年金の積立金の相当部分は国債で運営されていますので、20歳以上のみなさんは、もれなく国債の関係者であるとも言えます。
ところで、次の図表75は、社会保障の財政と国の財布を表す「一般会計」との関係を示したものです。
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■阪神大震災きっかけに対策強化＝「２次避難所の防災重要」―老人施設の溝田さん・神戸
(時事通信社 - 01月16日 14:01)
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１７日に発生から２９年を迎える阪神大震災でも、今回の能登半島地震と同様に介護が必要な高齢者らの２次避難が課題となった。神戸市北区の特別養護老人ホーム「六甲の館」の施設長溝田弘美さん（５９）は当時の経験をきっかけに、災害に強い施設づくりを進めている。「２次避難所となり得る福祉施設は、いざという時のため日ごろから防災対策を考え、実践することが重要だ」と訴える。
最大で３１万人を超える避難者が出た阪神大震災で、神戸市は１９９５年１月の地震発生から数週間たった頃、避難所で衰弱した高齢者を福祉施設に移し始めた。溝田さんの母典子さん（８６）が施設長だった六甲の館も、要介護の高齢者１０人以上を受け入れた。
食事やトイレなど日常生活で介護が必要な高齢者にとって、避難所での生活は厳しい。溝田さんも受け入れた高齢者の介護を手伝う中で、避難生活が長引く大災害では、福祉施設が２次避難所として大きな役割を果たすことを実感した。
「災害に強い老人施設をつくらないといけない」と感じた溝田さんはその後、日米の大学院で高齢者福祉などを研究。米国では現地の日本人高齢者向けに医療情報を提供する団体の設立にも関わった。２００６年に帰国すると六甲の館の職員となり、１２年に施設長に就任した。
阪神や東日本大震災では、犠牲者の約半数が高齢者だったことなどから、施設の災害対策を強化。発電機や貯水槽のほか、屋外の炊事場を整備し、ライフラインが停止しても１週間以上施設機能を維持できるようにした。
１９年に防災士の資格を取り、他の福祉施設の避難計画策定も支援している。防災対策づくりでは、多様な立場の人々の意見が反映されることが重要だといい、「介護や育児の視点も積極的に取り入れる必要がある」と話す。
能登半島地震では多くの高齢者が避難を強いられ、疲労や衰弱からくる災害関連死も心配されている。溝田さんは「大規模災害では、寝たきりの障害者や高齢者を受け入れる２次避難所の確保が重要だ。災害時に備えて受け入れ準備を進めておくことが、多くの人の命を救うことにつながるのでは」と語った。
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