片栗粉/『波の塔』『黒の奔流』

白菜旨煮を作るために、生まれて初めて片栗粉という物を購入した。デンプンの粉のことか。やっぱり材料は正直に揃えた方が上手くできるな。でも、他に使えるレシピを知らないので、持て余しそう。

松竹の松本清張映画の続き。
『波の塔』(60) 監督:中村登
若手検事(津川雅彦)は人妻(有馬稲子)と恋に落ちた。彼女の夫は業者と政治家をつなぐ怪しげなブローカーで、検事は汚職捜査のため夫と対峙する羽目になる。

恋愛映画は苦手だが、本作はサスペンス要素が強く楽しめた。浮気旅行先で台風に遭遇して帰れなくなったりする。清張らしいスリリングな展開だ。言わば不倫サスペンスである。いつばれるか、状況がどう変化するか、先がまったく読めない。★★★★

『黒の奔流』(72) 監督:渡邉祐介
弁護士(山崎努)が、殺人容疑者の料亭女中(岡田茉莉子)を弁護することになった。この場合、女中は売春婦と同義語である。底辺の無学な女だ。女は無罪を勝ち取ってくれた弁護士に身体を捧げる。だが大御所のお嬢さん(松坂慶子)との縁談が待つ弁護士は、女の存在がわずらわしくなる。
すがる女と捨てたい男の未来には、何が待つのか。冒頭の推理劇と後半の愛欲劇で二度美味しいエンタメ作品である。やっぱり清張作品は殺人が起こる方が盛り上がるな。とても気に入った。
★★★★★