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2023年10月17日17:11

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『けものみち』『わるいやつら』

松本清張の小説はどれも面白い。たまに外れもあるけど、作品数の多さを考慮すると驚異的なヒット率である。映画も基本的に出来が良い。監督や女優で見る作品を選んできたが、全部見ることにした。

『けものみち』(65東宝) 監督:須川栄三
民子(池内淳子)は、ホテル支配人・小滝(池部良)にそそのかされて寝たきりの亭主を殺し、政界の黒幕・鬼頭の愛人となる。

戦前の満州で形成された男たちの黒いコネクションに、民子は女を武器として切り込む。情欲と物欲にまみれた男女の曼陀羅図は、陰性の迫力に満ちていて目が離せない。黒部進が汚れ仕事実行役のチンピラとして出演している。こんな役が多いなあ。
善人が一人も出てこない。大半の人物が破滅する結末に唖然とする。★★★★

『わるいやつら』(80松竹) 監督:野村芳太郎
日本映画低迷期なれど、本作は大スターを大勢動員したゴージャスな作品である。やればできるじゃないか。

父の病院を受け継いだ二代目院長(片岡孝夫)が医者としての職能と立場を利用して女を漁る。原作を読んであまり医者らしくないキャラだと感じていた。でも、自己中なワルの癖に詰めが甘いところは、二代目のボンボンらしい。院長の本命は美人デザイナー(松坂慶子)だが、料亭の女将を演じる梶芽衣子のねっちりした京都弁が陰湿で怖い。婦長(宮下順子)の崩れた色気も印象深い。とにかく女優陣が豪華だ。
男優では藤田まことの会計士が強烈だ。院長を追い詰める刑事は緒形拳。さすがの貫禄である。
タイトルにたがわず、警察官以外は全員悪人だ。破滅に向かう悪党たちを描いて秀逸である。★★★★★
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