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2023年10月14日23:52

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東映の清張映画『点と線』

松本清張の映画化と言えば、松竹のイメージである。しかし調べてみると、最大の作品数を誇るのは松竹だが、大手各社が競い会うように清張作品を制作している。当時は大流行作家だったので、当然と言えるか。

『点と線』(58東映) 監督:小林恒夫
日本ミステリに変革をもたらした重要なエポックとなった作品だ。東映のオープニングと清張の世界に違和感をおぼえたが、あっという間に引き込まれた。

汚職の関係者と疑われていた男が、博多の海岸で料亭の女中と心中した。地元の刑事・鳥飼はあまりにも整った現場に疑問を持つ。東京から来た三原刑事も殺人を疑い、捜査を開始する。だが、容疑者には強硬なアリバイがあった。
社会派の嚆矢となった緻密なプロットを見事に映像化してくれた。美しいカラー映像に惹き付けられる。ダレ場がまったくない。肺病を患った薄幸の妻(高峰三枝子)が重要な役を果す。彼女は十数年後角川の「犬神家の一族」で松子を演じている。新鋭社会派の後にレトロ本格に出演するとは、面白い巡り合わせだ。心中遺体に蟹が群がる演出が忘れられない。★★★★★
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