帰国便の中で読んだ。
・迷路荘の惨劇(76) 作:横溝正史
作者の本はほとんど読んでいる。金田一も戦前の怪奇幻想も好きだが、角川が映画とのタイアップでカムバックさせてからの作品は、あまりいただけない。
本作もそのひとつだが、見逃していたことに気づいて読むことにした。
昭和25年、もと華族の屋敷がホテルとしてリニューアルされることになった。屋敷を手放した没落華族が殺される。招待を受けていた金田一耕助が解決に乗り出す。三代に渡る華族の因縁は、いかにもな横溝タッチで読み応えがある。が、肝心の事件が二番煎じぽい。
「悪魔が来たりて笛を吹く」+「八つ墓村」という感じかな。何人か人が殺されるが、しっかり考えられているのは最初の奴だけで、だんだん投げやりになってくる。怪人の出没や地下洞窟の冒険など探偵小説の味わいが楽しませてくれるので、まるで退屈ということはない。★★
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