「箴言」「アフォリズム」という堅い言葉よりも、日々を送る上での知恵といった柔らかな言葉が似合う本だった。
この間の連休に帰省した際、東大阪にある田辺聖子文学館に家族で行った時に感じた、一般的な文学館らしくない、おおらかで朗らかな雰囲気と同じようなものが本書からも伝わってきた。
「達観、というのは、心中、〈まあ、こんなトコやな〉とつぶやくことである。」
たとえ思いがけない災厄に見舞われても、この大阪弁をつぶやくと、なんとか自分を保ち、再び歩いて行くことができるだろう。
また、著者が人生でいちばんいい言葉という〈ほな〉という言葉。人との別れであっても、逝くときであっても、運命のままに受け入れる〈ほな〉という言葉を話すと、悲しいはずの心もどこか温もりを帯びてくる。
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