紅ミュージアムをあとにして10数分歩くと國學院大学に到着。近所には山種美術館もあるが、この日の目的は國學院大学博物館。訪れたことは何度かあり、常設展だけでも十分面白い、しかも無料。
その前に腹ごしらえ。博物館上の学術メディアセンター「みちのきち」が休館だったので3号館にある学食でランチ。定食で550円程度。ありがたし。この日はどうやら大学文化祭だったようで、あちこちで舞台などがあり、賑わっていた。
展覧会の正式タイトルは
國學院大學創立140周年記念 企画展
「近代工芸の精華―有栖川宮家・高松宮家の名品と金子皓彦 寄木細工コレクション―」
宮家の名品と寄木細工コレクションは別の展示室で、私の目的は寄せ木細工コレクションの方。マイミクさんの日記で知り、これなら紅ミュージアムと合わせていかれると滑り込み。
寄木細工というと思い浮かぶは、箱根土産のからくり箱。子供の時に買ってもらったそれを今でも大事にとってある。開け方を忘れて四苦八苦したこともいい思い出。箱根で展示も見たが、まさかこんな大きく煌びやかな工芸家具があるとは知らなかった。他の美術工芸品と同様、明治新政府が国家の威信をかけて万博出品、海外輸出に力を注いだのだった。マイミクさんの話によれば、國學院出身で現客員教授のコレクター金子皓彦氏は「お宝鑑定団」に出ていらしたという。すごいコレクションだった。
http://museum.kokugakuin.ac.jp/special_exhibition/detail/2022_140th_anniversary.html
本学は創立以来の有栖川宮家との御縁から、有栖川宮家の祭祀を継承された高松宮宣仁親王妃喜久子殿下の御高配により、御襲蔵してこられた有栖川宮家ならびに高松宮家ゆかりの品々を拝領し、収蔵しています。この度、國學院大學創立140周年を記念して、両宮家伝来の品々に加え、半世紀にわたり国内外の寄木細工を収集してこられた世界的コレクターである金子皓彦氏(院友)のコレクションをご紹介いたします。
1832年にシーボルトが収集した日本コレクションがオランダで公開されて以降、日本の美術工芸品はヨーロッパで徐々に関心が高まっていきました。維新後明治政府は、1873年に開催されるウイーン万国博覧会に「正良の品を蒐集・展示し、日本の国土の豊穰と人工の巧妙を海外に知らせる」として総力を結集し、結果、緻密で壮麗な工芸品はヨーロッパの人々の目を奪いジャポニズムのブームを引き起こしました。その中でも寄木細工の美しさは、日本の高度な木工装飾の技術を世にしらしめるものでした。
本企画展では、近代において世界にインパクトを与えた 日本のきらびやかで精微な近代工芸の数々をご覧いただきます。
写真撮影は可。アルバムありますのでご覧ください。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000120651817&owner_id=2083345
ではその一部をご紹介。
【金子皓彦 寄木細工コレクション】
時計付きの家形変わり箪笥。明治時代箱根のもの。両サイドは観音開き、下段も左右にスライドさせると引き出しが出てくる仕組み。
明治6年ウィーン万博に静岡の山本安兵衛が出品した飾り棚。20種類以上の寄木紋様を使っている。左中段の折戸を開くと回転するからくり箪笥が組み込まれている。
明治時代箱根のライティングビューロー。現存する中で最大。マイミクさんが、上部の飾りがないと金子氏が探していたのは、どの家具かしら。
寄木、木象嵌、横浜彫(透かし彫)。横の開閉?棚は扇形にひらき、縁も綺麗な紋様。ヨーロッパ輸出向け、絶対受ける。
明治時代箱根の飾り棚。
こちらはもっと東洋的。壺のような形。
明治時代箱根の飾り棚。
左右に配された2棟の2階建て日本家屋を段差をもって太鼓橋でつなげた奇抜な意匠。
これは、明治時代箱根のチェステーブル。
チェスをしない時はティーテーブルになるね。
明治時代静岡の飾り引き出し。
観音開きの扉の内側が黒漆金蒔絵になっているので、閉じている時と開いている時とではまた違った印象になりそう。
マイミクさんが、展示ケースもレトロでいいわよ、と言っていたので確認。たしかに!
江戸時代箱根の四方箱。
そうそう、何回か引くと蓋が開く仕組みの秘密箱。これはお土産用かな。デザインがまるでクレーや古賀春江の抽象画のようにおしゃれ。
寄木、木象嵌自体のデザインも様々で面白かった。
【有栖川宮家・高松宮家の名品】
貞明皇后ご遺品の《宝石御箪笥》。いきなりの超絶技巧に圧倒。
学習院大学でボンボニエール展を見たが、鳥籠もトランクもかわいい。トランクは高松宮外遊帰朝で配布されたのね。
《住吉の浦蒔絵御書架》
高くてよく見えなかったが、カメラに収めて天板の美しさにハッとする。
《鳳凰宝相華唐草丸紋蒔絵御所風机》
やはりこう言った伝統的紋様は美しいですね。
《雪中松図布目象嵌煙草箱》
明治天皇、大正天皇、そして高松宮に伝来したもの。
円山応挙の国宝《雪松図屏風》のような図柄。蓋裏に鷹が描かれているのがおしゃれ。
11月6日で終了。
ただし、紅ミュージアムの「 ちぃさい、ちっこい、ちっちゃ!」展(
こちら)は12月11日まで、國學院大学博物館の常設展(考古学、神道)は面白いので合わせていくとおすすめ。
まだ時間は早かったが、帰る体力を残すため常設展は今回パス。腹八分ならぬ膝八分で(笑)
写真まだまだあります、アルバムどうぞ。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000120651817&owner_id=2083345
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