この本は、13版で1993年。古い本だが、ディズニーランの経営戦略がよく分かる。
成功に導く鍵のひとつに、「人のいやがる仕事に価値を与えた」ことがあると思う。たとえば、掃除の人を、「カストーディアル」と名づけ、かっこいい制服を着て、パーク内を歩きながら掃除させたことだ。
これは「パークの中はステージで、全ての人はショーの登場人物である」というウォルト・ディズニーの考えによるものだ。これで、人目をはばかる裏方の仕事が、堂々、日の当たる仕事になった。
この「カストーディアル」を調べたら、<custodial・・・〔資産などの〕管理>とあった。お掃除係ではないのだ。ちなみに閉園の後、翌実までにぴかぴかにするのもこの人たちの仕事。パークをきれいにするのは、基本の基本だから、理にも叶ってる。
これは、全てディズニーが用意したマニュアルにある。「カストーディアル」のマニュアルには、掃除以外にも、道を聞かれたら教える、写真を撮ってあげる、具合の悪い人を見たらサポートする、などがある。「仕事終わったらお茶でもどう」などのお誘いにも、失礼にならない答えのマニュアルがあるのだそうだ。
つまり、ディズニーランドの人たちは、マニュアルで親切にしてくれているわけなので、心の準備がないままパークに入ると違和感を覚える。それに対して、常連さんは、どう対応してくれるか分かっているから、安心して環境になじむ。
僕たちの生活や社会には、マニュアルがないものがほとんどだ。だから、現在、コロナ禍でどうしたらいいのか分からないで、オロオロしている。いいマニュアルを政治家が作ってくれたらいいのにな、とフト思ったのだった。
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