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2021年04月10日18:29

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本棚378『恋と女の日本文学』丸谷才一(講談社文庫)

 小説家であり、批評家でもある丸谷才一の文学論は、伸びやかな想像力と軽やかな語り口を伴っていて、実証を重視する学術書にはない魅力がある。
 新古今和歌集などの勅撰集における恋の歌の多さや最古の長編恋愛小説である源氏物語など、恋を描くことを好む日本文学の特質とその要因を、呪術性、儒学の拘束力の弱さ、公より私に重きを置く傾向といったキーワードに基づき、中国文学との比較から明らかにする。さらに、日本文学と同様に恋愛に肯定的な西洋文学は、男女の関係だけでなく、同時に「社会」を描いたものが多いと指摘する。
 このように、文学の世界を俯瞰する大きな絵姿を見せてくれるのは、作家ならでは技である。
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