朝日に紅く染め上げられたタイの睡蓮の湖、雪残るロシアの野に春を呼ぶもふもふのネコヤナギ、地面を白く覆い「5月の雪」と呼ばれる台湾のアブラギリの落花、紺碧の海と白亜の壁に映えるエーゲ海の真紅のブーゲンビリアーどの写真もため息が出るような美しさであり、華やかな色彩の洪水は心を弾ませる。
本書の写真の場所とは異なるが、火炎樹(ホウオウボク)と言うとベトナムを想い出す。高校生の頃に観た、ベトナムを舞台にした『季節の中で』という映画のラストシーン。鮮やかな紅い花びらが舞い散る火炎樹の並木の中を、純白のアオザイを着たヒロインが踊るように歩く場面は、時を経ても目に焼き付いている。
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