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2021年03月13日16:59

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本棚371『わたしの好きな季語』川上弘美(NHK出版)

 日永、春愁、半夏生、夏館、天の川、良夜、冬羽織、春隣ー美しい季語の一覧を眺めているだけで幸せな心持ちになってくる。
 それぞれの季語には、著者のエッセイが寄せられている。夏の季語「雷」では、岡本綺堂の『半七捕物帳』の、夏の夕方の風や冬の底深い寒さといった江戸の豊かな自然描写に話が及び、秋の季語「花野」では、今にも雨の降りそうな初秋のカナダの朝、日本に通じる花野の景色を見つけた驚きが語られる。
 食べ物の季語が多いのも楽しいし、著者の小説を髣髴とさせる夢幻的な話や、著者が専攻していた生物学の知識が時折顔を覗かせるのも面白い。
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