東北各地の旅の記録。豪雪の中、暖かいストーブの前で老夫婦ができたてのおそばを食べる「雪国のひとつの幸せの風景」のように、地元の人たちとのさりげない一期一会の出会いがいい。
椎名誠の旅の魅力は、「人」との出会いに加えて、「食」にある。早朝の漁港近くの小さな番屋で、焼き立ての牡蠣とホタテに「ハフハフ」とかじりつく至福の時間。郷土料理ばかりでなく、まず旅先各地のラーメン屋に行くのも、地元の人の日々の暮らしが垣間見られていい。
特別な観光名所を訪れる旅ではないけれど、二度と巡らない特別な時が切り取られている。
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