いまFacebookの友人からは、厚労省の失態の大元は、財務省にあり、財務省がお金を出し渋っている指摘がありました。
しかし、実際に10兆円にものぼるコロナ対策費を予備費として計上しておきながらも、野党から「巨額すぎる」「使途を明らかにすべきだ」という批判を受けて、コロナ対策に使われず終いになりました。つまり、たとえ財務省が大盤振る舞いしても、執行する側の厚労省が思考停止してしまったら、予算をうまくいかせないという「根本問題」があるのです。
そもそも予見できないから予備費なので、事前に使途を明らかにせよという追及は、無理筋なのです。そんな批判に臆することなく医師会からの要求に基づき、厚労省が調書をとれば、予備費の執行はできたはずです。
このようなコロナ対策が空回りしてしまう背景には、感染症ばかりでなく、あらゆる「有事」に対して、日本では全く考えられていないのが、この「根本問題」なのです。こんなことでは、中国が尖閣を抑えるため漫画『空母いぶき』で描かれたように与那国島まで武力介入し、島民を人質として確保した場合も、右往左往するばかりで何もできないことになりかねません。
海外では有事の際に「非常事態宣言」をして、個人の行動に制限をかけて、反すれば罰則があり、個人の土地の一時使用も躊躇なくできるというのに、海外と日本では国家も国民も危機意識に対して、レベルが違いすぎます。
罰則という「ムチ」の代わりに用意した「札束のムチ」を用意したのに、使えないとは情けないですね。
そして憲法改正を建前としては進めている自民党の憲法改正案の条項では、緊急事態条項について、平時には全く議論すらされていなかったのです。平時でも議論されないなら、いざ有事となり、緊急の超法規的対策が求められたとき、議論する時間がないという言い訳で通るものなのでしょうか。
与野党議員たちも、マスコミも、そして国民たちがみんな揃って、平時の平和ボケしたままの感覚だから、10兆円の使用用途未定の予備費を計上したら、それは大すぎだの、事前に使途を明らかにせよとの非常識な意見が出てきて、いざというときに使えなくなってしまうのです。
まずは有事を想定した改憲の議論を広く国民レベルでもりあげて、いざというとき政府が判断に困らないようにしておくべきです。
そして、有事がある程度想定できる場合は、緊急に十分な予備費を計上し、それが迅速に執行できるよう与野党のコンセンサスとマスコミ向けの広報をしっかりやって、非常識な意見を封じておく必要があると思います。
ところで財務省が大盤振る舞いしても、厚労省は空回りして、いっこうにコロナ専門病床の拡大につながらないのは、何も厚生官僚の怠慢だけではないのです。
その背景には、平時の先進医療推進政策にあります。ガンや心臓病などの先進医療に対てしての、国民的ニーズは非常に高く、平時において医療政策が先進医療推進に偏重してしまうことは仕方のないことだと思います。平時においては、まさか近々に重篤な伝染病が蔓延することなど、誰も予測できません。そんなありえないことに、多くの医師と入院ベットを割くわけにはいきません。それが全国160万床もある病床数に対してコロナ専門病床は3万病床しかない現状になってきていると思います。
いくら大学病院でコロナ専門病床を増やそうとしても、そこには既成の先進医療推進に偏重した医局が抵抗勢力となって、妨害するわけです。そういう大学病院の医学教授陣の抵抗を打ち返して、コロナ専門病床の拡大を目指すには、担当する厚生官僚と厚労大臣の決意と覚悟がなければ、抵抗勢力の圧力をはねのけることはできないでしょう。
マイミクのあるかたから厚労省マンパワーが不足して、そこまで頭が回らなくなっているという指摘がありました。それって、殺人事件が続きすぎて、捜査できないと職場放棄してしまう捜査一課の刑事のようなものです。どんなに忙しくても刑事がそんな職場放棄は許されません、コロナを前にして、もし厚労官僚が思考停止してしまうのであれば、なんのための厚労省なのか、そして、それを担うお役人さんなのか存在意義自体が問われても仕方ないでしょう。
予算がないからできないのは、言い訳です。だいたい予算が付いてもどうやって使ったらいいかわからないようでは意味がありません。
切腹覚悟で、抵抗勢力の教授たちと刺し違える気迫で、なんとしても感染症克服のため、いまの先進医療推進に偏重してしまっている医療現場を変えていくのだという志を持つことが大切です。
小泉さんだって、最初は少数派だったのに、最後は郵政改革を成し遂げたではありませんか。
■入院拒否に罰則 コロナ対策の改正法案、審議4日で成立
(朝日新聞デジタル - 02月03日 20:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6400229
ログインしてコメントを確認・投稿する